黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

再考:『For My Dear...』

参照:4thシングル『For My Dear...』

 

 

For My Dear...

 

「いちばんに言いたい言葉」とは何だろう。「いちばんに聞きたい言葉」とは何だろう。「歌をうたい続けて」いることも、「人を好きになったりする」ことも、その言葉に辿り着くためなのかどうかは「かもしれない」という域に留まるし、もっと言えば、その言葉が何なのかすらも探っている状態なのではないだろうか。哀切漂うバラードはまさにしみてきてとても痛い。

幸せを夢見る気持ちといずれ失うことの間で揺れ動き、優しさもキズにしみて痛いものとして語る「私」は、まだ「いちばん」の想いを直視する決意には到っていないのかもしれない。けれど、そんなままならない自分も全て「大切な人へ」向けて、こうして一つの歌に込めた。歌詞を書くこと、歌を歌うことを初めから志していたわけではないあゆは、言葉にする難しさ、何故歌うのかという問いをずっと繰り返している。その歌を届けたいと思う人を見つめながら。まだシングル4枚目の頃から、その姿勢は変わらないのだ。

再考:『Trust』

参照:3rdシングル『Trust』

 

Trust

 

「赤い糸」を信じず、「運命はつかむものだと思った」という主人公の「私」はなかなかシビアなイメージだ。現実を見ているからこそ、取り巻く世界に疲れてしまうし、「周りばかり気にする」。「あなた」を心から信頼できる人だと思えたとき、それはどれほどの救いになっただろう。私が見つけた、のではなく、「あなたから見つけてもらえた」と書き表したところにやはり鍵がある。自分が赤い糸を信じ辿ったわけではないのなら、「あなた」の方から見つけたということになる。この後、あゆは「世界が逆に周り始めてる」状況を目にすることになるが、そのときも「あなた」を信じることは何か助けになったのだろうか。

出だしの「赤い糸」はもちろん、「口びるにすこし近付き始める」という表現に、色づく恋心が見えるようだ。このときめきから「自分を誇ること」という大きな命題までつながる歌が、飾らない言葉で出来上がっている。どちらかと言えば切なげでシリアスな曲調とあいまって、その偽りない信頼が聞き手まで届く。

PVは、車を運転したり、海辺を歩いたりする場面と、部屋の中にいる場面、そしてマイクの前で歌う場面で構成される。前作の『YOU』に比べるとより外に飛び出していく印象だ。白い建物に掲げられた鐘は、どこか清らかな空気に包まれている。

再考:『YOU』

参照:2ndシングル『YOU』

 

YOU

  

春夏秋冬の細やかな表情を描く歌詞が、明るくキラキラとしたサウンドの、ゆったりと穏やかなこの2ndシングル曲で既に現れている。「夢中になっていく」日々を綴っているのだが、「夏の雲途切れては消えていった」のような、そこはかとない哀愁が特徴的だ。楽しい思い出ばかりを振り返るのではなく、かと言ってあれやこれが辛かったと言うのでもない。ただ「君」と共に経てきた季節の景色に託している。

また、あゆ作品では相手の様子を表す時に「横顔」という単語もよく見かける。側にいる、肩を並べて歩いている……その言葉からどんな二人を思い浮かべるだろうか。今作ではその「悲しい程キレイ」な横顔には「何ひとつ言葉かけられ」ず、相手の苦労に「気付かずにいてごめんね」という心情を抱き、「支えにいつかなりたいと願うよ」と歌われる。やわらかい口調が健気さと素朴さを持って胸に迫る。

「だけど最後にたどり着く場所って…」という、未来に思いを馳せる描写もある。この二人が『Dearest』のような「遠まわりしたけど 辿りついたんだね」という境地に至るかどうかは分からない。ただあゆは、「言葉にならない様な 思い出だとか 気持ちを抱え」たその実感を歌い、生きている。

PVでは、ステージ上のあゆと言うよりも、日常を絵画の額縁で切り取って覗くかのよう。油絵の具のように塗られた空間と対比して、終盤は一気に解放感が吹き抜ける。

再考:『poker face』

参照:1stシングル『poker face』

 

poker face

 

「いつだって泣く位簡単だけど 笑っていたい」「あなたの愛が欲しいよ」ストレートで切実なメッセージ、しかしタイトルは「無表情」。この世界観が、そのままずっとあゆ作品に連なっているように見えるのは気のせいだろうか。あまり時を置かずして『For My Dear...』では「いちばんに言いたい言葉だけ言えない」ことが歌う理由として語られ、もっと後で人気のバラード『Key ~eternal tie ver.~』では歌うことが自分にとって伝える術だと綴られている。元を辿れば「ポーカーフェイス」とは駆け引きから生まれた言葉だが、ここにはそんな策略は描かれていない。上手く伝えられない不器用さを抱えながら、なおも伝えようとすること。伝えたいという想いが歌になること。あゆが繰り返し歌にしてきたその懸命な姿勢は、デビュー曲にして既にあったものなのだろう。

「ウソや言い訳 上手になる程 むなしさに恐くなるよ」という歌詞からは、「ホントの自分の姿」を何とか見失わないようにしている印象を受ける。それだけに、「信じてる心がある」という小さな確信は説得力を持ち、「あなたの愛が欲しいよ」に偽りのない本音を感じられるのだ。

PVでは、春夏秋冬を思い起こさせる景色と、木の枝に載せられたたくさんのテレビ画面にあゆが登場する。あゆが年中メディアに映るようになるのは、もう少し先のこと。

 

 

FRIEND

 

この歌の「君」は、遠く離れているだけでなく、ともすれば連絡もあまり取り合えないような相手なのだろうか。「私」が語っているのは思い出であり、折に触れて「くり返しくり返し」しているのは自分に何かを言い聞かせることなどで、『Ladies Night』のように直接相手とつながりを持つことではない。二人の間に何があって、今はどんな距離感なのか。

仲違いをして疎遠になる、とは限らない。仲良しのまま、何となしに遠ざかってしまうこともある。この歌では「細くてでも強いその手 離したの私だから」という歌詞に、ほんの少しだけほろ苦さがあるが、あまり悲劇的な様子は描かれていない。率直な飾らない言葉で、「離れてても胸の奥で友達だよ」「君との日々 思い出して 支えにして」と語る。

「今よりキズつきやすくて でもきっと輝いてた」という若さを振り返るような歌詞や、季節や天気に触れる表現に、瑞々しさが溢れる。そして「夏」という単語も登場する。デビューシングルの収録曲で既に「夏」を要素の一つに選んだあゆは、その後数々の“夏歌”を生み出した。夏にどんな思い入れがあるのだろうか。多くの作品で描かれた夏、そして様々な季節を楽しみたい。

 

 

 

 

以前、再考記事はアルバム単位で、と書いたのですが、『A Song for ××』くらいまでの作品は元々の記事の文章が短く、その分分量が多くなりそうなので、シングルはシングルで分けてみます。

また、期間限定で「M 愛すべき人がいて」をカテゴリに追加します。このブログは歌以外のことに触れない方針ですが、せっかくなのでカテゴリだけ……。シングルはもちろん『M』まで、アルバムは『A BEST』までの作品がここに入ります。

10thアルバム『NEXT LEVEL』(後編)

 〔『NEXT LEVEL』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

Rule

45thシングル。当該記事を参照。

 

 

LOVE ’n’ HATE

作曲・編曲:中野雄太

 

いきなり襲いかかって来るような出だしから入り、切迫した様子で音を刻むストリングスと、低く叩きつけるようにギターが響くロックナンバー。この楽曲にももちろんデジタルサウンドのアクセントがある。

「あたし」は「あなた」に「愛されたかった」。しかし期待が薄いのは分かっていて、「ほんの一瞬だけでも 夢が叶う夢を見たかった だけなの」と切実に明かす。この「夢が叶う夢」という言い方が「ほんの一瞬だけでも」を強調している。夢が叶うことすら夢なのだ。

愛されたかった「あたし」は、あなたに「思い切って近付いたけど」、今度は嫌われたくないと「思い切り遠く離れた」。近付いた時に何があったかは分からないが、恐らくは近付いたことで、やはり叶わぬ夢を抱いていたのだと実感してしまったのだろう。自分でも驚くほど深くキズついてしまい、「嫌いになれたら もういっそ楽なのにね」と無念さを露わにしている。「あたし」に対し、「あなた」はある「答え」を出してはくれたようだが、「あたしには優しすぎて それが悲しくて苦しい」という結果になってしまった。

どこまでいっても救いのない「あたし」が抱いた夢。無情なカウントダウンが響く演出がそれを際立たせる。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ LOVE 'n' HATE 歌詞 - 歌ネット

 

 

Pieces of SEVEN

作曲・編曲:HΛL

 

インストゥルメンタル。ゆっくりと何かが満ちてゆくような雰囲気から、HΛLさん独特のエコーのかかった輝かしい音が響く。しかし後半、急にテンポが上がり、ハードロックのサウンドへと変化する。

 

 

Days

44thシングル。当該記事を参照。

 

 

Curtain call

作曲:原一博

編曲:中野雄太

 

アルバムに幕を下ろすのは、ピアノの伴奏と、讃えるようなコーラスがしんしんと響くバラード。シンプルだがだんだんと盛り上がっていく曲調は、ベット・ミドラーの『The Rose』を彷彿とさせる。

歌詞は簡潔な言い回しの繰り返しで、「聞こえてる あなたの声が」という「あなた」に対する呼びかけと、「映ってる? 私の顔が」という問いかけがある。その構成や、「あなた」が聞き手に置き換えられる内容は『MY ALL』に似ている。ただ、この歌は簡潔さが特徴で、メロディーは一か所をのぞきサビだけで出来ており、歌詞も煮詰めて凝縮したような印象だ。「一番に言いたい言葉だけが言えない」というのは『For My Dear...』にも通じ、今でも「こんな私」だと歌われているが、それでも言いたいことを突き詰めようとした先にこの歌の歌詞があったのではないだろうか。「愛すべき あなたへ贈る 心からの愛のうた」というメッセージは、簡単なようでいて、本当は言葉を尽くしてこそ辿り着く表現なのかもしれない。伝えることに対するあゆの真摯さは、ちゃんと我々に聞こえている。

PVは、飾り気のない黒いドレスのあゆが歌いながら通りを歩いてゆく。ほぼ正面からだけ映したカメラがワンカットで回り続け、途中に様々な演出があり、「カーテンコール」のタイトルにふさわしい最後を迎える。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Curtain Call 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

世界の大変な状況に、閉塞感のある毎日が続いています。

このブログを読んで下さっている皆さんはいかがお過ごしでしょうか?心身とも健やかであることを祈るばかりです。

溢れる情報は見極めて取捨選択してゆきましょう(『talkin'2 myself』)。

アーティストの方々が前向きな発信を様々な形でしていますね。もちろんあゆもその一人です。素敵な音楽と共に心の支えにして生きてゆきましょう。

10thアルバム『NEXT LEVEL』(中編)

 〔『NEXT LEVEL』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

Sparkle

45thシングル。楽曲については当該記事を参照。

PVでは冒頭、いわゆる「聖子ちゃんカット」で80年代のアイドル然とした、可憐なあゆが登場。楽曲にそぐわない雰囲気で歌い出したかと思いきや、強烈な色が印象的な空間へと唐突に切り替わり、レザースーツ姿のあゆが鋭い視線を飛ばしながらパフォーマンスする。アイドルの場面で一瞬だけ映る歌のランキングは全てあゆの楽曲で、メイキング映像でより詳しく確かめるのも楽しい。

 

 

rollin’

作曲:中野雄太

編曲:CMJK

 

デジタルサウンドが特徴的なこのアルバムの中でも、最も機械的で無機質なメロディーラインを持つと言っていいだろう。曲調がデジタリックなのはもちろん、ヴォーカルにエフェクトをかけたAメロは同じ音が一直線に並び、サビもあまりメロディアスではなく、クセの強い印象を残す。

そんな曲に載せた歌詞の内容は、しかし意外にも闇が深い。「期待した事こそが 失敗の始まり」「解っているのに 頷けない」と、なす術もなく呆然としている様子が思い浮かぶ。何があったのかは詳しく書かれていないが、費やした時間も想いも「一瞬で全て 塵となる」という、虚しくなるような状況がそこにある。「世界が回る 生まれ変わるスピードで」「時代が巡る 終わりに向かうスピードで」。手に負えるものではなさそうだ。

これは『too late』や『Mirrorcle World』で垣間見られたような、自分で選んだ道においても避けられない苦悩を描いたものか。それとも、例えば社会や自然環境といった、大きな力で動いている仕組みの中の混乱なのか。確かなのは「元居た場所には もう二度と戻れない」ということ。以前の状態に戻すのは不可能で、答えはこれから先にしかない。あゆのヴォーカルがロボットのように淡々としているのがかえって不気味で、厳しく残酷な現実を浮き彫りにする。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ rollin' 歌詞 - 歌ネット

 

 

GREEN

44thシングル。当該記事を参照。

 

 

Load of the SHUGYO

作曲・編曲:CMJK

 

インストゥルメンタル。忍び足で駆け抜けるような、怪しげで緊張感のあるアップテンポな曲で、途中の激しいギターが特徴的。

 

 

identity

作曲:編曲:中野雄太

 

雰囲気としては『1 LOVE』に似ているハードロックだが、ところどころにあるデジタルサウンドの強調やエフェクトのかかったヴォーカルなどがやはりこのアルバムらしさを演出している。

歌詞では、表面的な付き合いで「余計に孤独になってる」人、他人を思いやるポーズで実は「自己満足したいだけの」人に、びしっと厳しい忠告を突き付ける。「どんな巧みにデコレーションしたって」という言葉には、『alterna』で必要以上のモノを「大抵飾りだった」と言っていたのを思い出す。真実が見えなくなるほど、自分の心をごまかし、上辺だけの「デコレーション」をかぶせていないだろうか? と考え直したくなる。「解ってるんでしょう?」という問い掛けが鋭く刺さるのだ。

対して、主人公「私」の姿勢はきっぱりと潔い。「性懲りなく真っ直ぐぶつかっちゃう」「どう思われたいとかなんて重要じゃないの」と、生身の自分をさらけ出す。「私」が「余計に孤独になる」ようなことや「自己満足」のために他人に関わるようなことはしないだろうし、逆にそのような人のために自分を見失うこともないだろう。こういった内容も『1 LOVE』に通じるものがある。「ID ID」という繰り返しは小気味良いリズム感も醸し出している。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ identity 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

あゆりあです。

久しぶりの更新を、あゆのデビュー日に致しました🎶

マイペースですがまたよろしくお願いします。

 

10thアルバム『NEXT LEVEL』(前編)

10周年を迎えて後、10枚目となったフルアルバム。

ジャケットや歌詞カードでの、あゆの衣装やセットはビビッドな色遣いで、デジタリックな印象もまとう。実際、収録されている楽曲はデジタルサウンドを効かせたものが目立ち、ロックナンバーもゴリゴリのハードさよりはエレクトロニック要素が押し出されている。カラフルな歌詞カードと言えば『RAINBOW』を思い出すが、新たな方向性を示しているという点では共通しているかもしれない。『NEXT LEVEL』というタイトルからして、10年の蓄積から更に高みを目指すあゆの覚悟が見えるだろう。

発売形態にも挑戦が見られ、CDのみ盤とDVD付属盤の他、DVDともう1枚のCDが付属する盤、そしてUSBメモリでリリースした。ジャケットはテレビの画面を前にしたあゆを映したもので、各形態でポーズが少しずつ違う。DVDではシングル含む6曲分のPVとメイキングが見られる。もう1枚のCDには「PREMIUM COUNTDOWN LIVE 2008-2009 A」(「A」はロゴ表記)の音源を収録、あゆにとって初めてのライブ音源CDとなった。USBメモリのリリースは日本の音楽界初で、音源と映像、デジタル・ブックレットを収録し、CDと同じケースに収納される。初回盤は、それぞれの形態で異なる色のカラーケース。

 

 〔『NEXT LEVEL』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

Bridge to the sky

作曲・編曲:中野雄太

 

優しいデジタルサウンドで、やわらかな光が徐々に満ちるような楽曲。次の『NEXT LEVEL』の歌詞の一部を使ったあゆのヴォーカルが入っている。

 

 

NEXT LEVEL

作曲:D・A・I

編曲:HΛL

 

アルバムタイトルを冠したこの歌は、前曲から優しいイメージを引き継ぎ、爽やかな風が吹き抜けるような作品となった。ポップな曲調はどこまでも穏やかで、アルバムはふわりと幕を開ける。

「動き出す 次のステージへ向けて」と、ワクワクするような歌詞が出だしにある。「僕達」の「瞳合わせ」て「ぎゅっと強く手を握」り、「光り続ける」という距離感が絶妙な安らぎを感じさせる。目標を同じくする同志か、共に歩むと決めた愛し合う者達か。あゆと我々聞き手だと思えばこれほど嬉しいことはない。「同じ速度で同じ景色眺めて行こう」と呼びかけられているのだから。

あゆがデビュー10周年を迎えて発表した作品は、自分の立ち位置と世界の目まぐるしさに戸惑う『Mirrorcle World』や、強く攻めの姿勢を取る『Rule』『Sparkle』と強烈なものがあったが、今作では「ふわり笑顔がこぼれたよ」「こわくないよ大丈夫だよって聞こえた」と、ただただ前向きにやわらかく歩き出すようなイメージだ。「こわくないよ大丈夫だよ」という、優しく見守るような声の主は誰だろう? 内なる自分の声か、未来からの自分達か。「過去に残した傷跡さえ今は愛しい」と感じながら、未来へと輝くような期待が溢れ出す。

PVでは、あゆがオープンカーを運転し、広大な地の道路をひたすら走って行く。荒野や海辺、晴れ渡る空が映し出され、観ているだけで心地が良い。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ NEXT LEVEL 歌詞 - 歌ネット

 

 

Disco-munication

作曲・編曲:CMJK

 

ゲームのような音を組み合わせた、リズミカルなインストゥルメンタル。途切れ途切れになるように加工されたヴォーカルが含まれている。

 

 

EnergizE

作曲:中野雄太

編曲:CMJK

 

軽快に跳ねるデジタルサウンドが新鮮な楽曲。思わず手を叩きたくなるノリの良さが特徴だ。あゆに「let me sing forever!!」(アタシを永遠に歌わせて!!)と言われたら、我々は頷くのみである。

歌詞はおどけた様子ながらも、思い通りにいくとは限らない日常を生きる「君」への応援メッセージで溢れている。「いけてない自分」「裏目に出ちゃったりし続けてる自分」が居るとしても、「喜びを悲しみの 犠牲になんてしないでね」と明るく優しく励ます。「へこんでも悔やんでも 陽はまた昇る」と語り、遂には「結局ねどんな君も好き」とまで言ってくれる。

文の初めに「てかねアタシは」という言葉が出てくる箇所があるが、あゆ作品にしては珍しい砕けた言い方だ。楽曲のリズムと合わせて、心を軽くさせるかのようである。こういうバランスがあるからこそ、「人生は一度きり」という歌詞が出てきても重くなりすぎない。「君」が笑ってくれれば「何か全部 行ける気がする」という予感は、主人公達だけでなく、聞き手の背中をぽんと押してくれるだろう。肩から力を抜いたままで元気を出してゆきたいものだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ EnergizE 歌詞 - 歌ネット