黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

24thシングル『Dearest』

Dearest

作曲:CREA + D・A・I

編曲:鈴木直人

 

あゆの代表曲の一つとなった、渾身の、そして極上のバラード。ロックをベースにしながら、繊細で美しいピアノサウンドを際立たせる曲調と、愛に満ちた歌詞が心を震わせる。数々のヒット曲を提供してきたD・A・Iさんと、初めて共同という形で作曲を行っている。

PVは、あゆが騒がしい日々から逃れ、自由を謳歌するストーリー。この時期、作曲への挑戦やハイペースでのリリースを敢行していたあゆの心境がうかがえる。それを考えれば、出だしの「本当に大切なもの以外 全て捨ててしまえたら いいのにね」という歌詞もますます切実だ。かつては『too late』でお金も栄光も扱き下ろし、『End of the World』では「もてはやされたって 羨まれたって 解ってることさえ解らない」と悲痛な言葉を連ねていた。これさえあれば、と思えるものは突き詰めるとシンプルで、本当はそうそう多くない。けれど一人前の大人になると、その上特殊な立場にあると、雑音やしがらみも増えて行くのだろう。

それでも「君」の存在がある。笑顔が絶えないことを願い、その人のために何ができるかと思える「君」。

『Dearest』の世界観はスケールが大きく、悠々としている。「永遠の眠りにつく日まで」に思いを馳せ、人間という生き物の悲しさを噛み締める。そうしてゆったりと歌い上げてきた末に「遠回りしたけど辿りついたんだね」と最高の終わりを迎える。決して簡単ではない人生、遠い距離と長い時間をかけたとしても、その愛に辿り着く。誰もが願うハッピーエンドをこの作品は見せてくれた。

なおこのシングルには「Dearest “Acoustic Piano Version”(編曲:島健)」が収録されている。Acousticと付くアレンジは他の楽曲でも多く存在するが、『Dearest』のそれはシングル内でのボーナストラックという扱い、改めて録った歌声、このトラックのみで存在するもう一つのPVと、何かと特別だ。優しい歌声は、静かなアレンジによく合っていて染み渡るような味わい。PVは自由の身となった後のあゆが一人で歌っている。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Dearest 歌詞 - 歌ネット