バラードナンバーを集めたベスト。「エー・バラーズ」と読む。最初の「A」はロゴ表記。ジャケットと歌詞カードでは、あゆが二人、違う雰囲気で登場し、恋人同士のようにやわらかな時を過ごしている。
新曲『RAINBOW』とカバー曲『卒業写真』の他は、ファンの人気投票による下位から上位に並べた曲順。楽曲の多くはアレンジが加えられている。
こうしてみると、バラードに限っても「代表作」と呼ばれる作品が多いこと、またその楽曲の多様さに気付かされる。アルバム曲が何曲かランクインしており、トップの2曲がその中にあるという点も面白い。
〔『A BALLADS』の記事 【前編】 【後編】〕
RAINBOW
作曲:CREA + D・A・I
編曲:CMJK
5thアルバム『RAINBOW』でその存在が明かされていた楽曲。元はシングルにする予定だったらしいが、こちらに収録となった。
気だるげなギターと、僅かな光が差し込むかのように繊細なピアノが絡まりながら始まる。「どこからか優しく響く」という冒頭の歌詞の通りの印象だ。囁くようなヴォーカルはどこか掴みどころのないメロディーを辿り、静かで幻想的なサウンドの中でコーラスがふっと漂う。聞き手は不思議な浮遊感に包まれるだろう。
歌詞の中で「僕」は、「君」が自分にとってどんな存在だったか確かめていく。「癒すつもりが癒されてた」「守りながら守られては」と、「君」の大きさに気付き、「愛を遠ざけようとした僕は愛に救われていた」と語っている。
曲調は優しさを保ちながら、徐々に音を増やしていく。ヴォーカルも芯を持ち、大サビでは「共に分け合い歩いて行こうか」「今は君だけのために歌おう」「大切な僕の宝物よ」と晴れやかに歌う。讃えるようなコーラスが開放的に響き、清々しい終わりを迎える。まさにだんだんと晴れ間が広がり、虹が現れるかのような展開だ。
PVでは、歌詞カードのようにあゆが二人登場する。こちらは恋人同士と言うより、自分自身との対話のような演出となっている。
編曲:HΛL
原曲はシンセサウンド中心のポップスだったが、こちらはR&Bテイストのアレンジ。使われている音はシンプルながら、ストリングスがドラマティックに演出している。リズムを刻む間隔が広くなったため、テンポはそのままでもよりバラードらしく聞こえる。
編曲:tasuku
原曲は過ぎてきた季節の輝きを表すようなキラキラしたサウンドだったが、こちらはそよ風を思わせる、ほのぼのと温かく優しいアレンジとなっている。ヴォーカルは新録。
編曲:鈴木直人、D・A・I
原曲と大きく違うところはないが、リズムの刻みが細かくなったアレンジ。