黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

31stシングル『No way to say』

No way to say

作曲:BOUNCEBACK

編曲:HΛL

 

冬を飾る名曲となったバラード。直に冬を表す歌詞は登場しないが、切ないメロディーと、寒空に響くかのようなキラキラした音の織り成す世界は冬に似合う(アレンジのHΛLさんは、夏歌での海の波音も冬歌の雪の輝きも、演出が美しい)。 PVは正に冬そのもので、雪の積もった街に立つサンタクロースがあゆにだけ何かをそっと伝えようとするストーリーは、歌の主題に沿っている。

「傷」や「痛み」、想いをなかなか伝えられないもどかしさを綴った内容は、今更言うまでもなくあゆの持ち味のど真ん中である。『RAINBOW』の頃から歌詞でも曲調でも、様々な方向性を示してきたが、「いくつになっても相変わらずな私は 今でも臆病で」「癒されぬ過去の存在」というフレーズを見ると、こういうところに変わらない感性の源を感じる。

主人公の「私」は、「遠い昔」に負った傷が今も影を落とし、本当の気持ちを表せずにいる。「怯えても仕方ない」と思っても、なかなか勇気が持てない。想いを「言葉に出来ない」という「もどかしい痛み」を主人公に教えたのは、「あなた」の存在だったという。主人公は「あなた」にどんな感情を持っているのだろう。痛みばかり与えられてつらいだろうか? それとも、痛みさえ超えて何かを伝えたいと思っているだろうか?

「言葉にならない」「言葉に出来ない」想いはきっと、誰もが抱えている。そんな表現で歌は締めくくられる。言葉を紡ぐあゆが語る、「言葉にならない」という境地。聞き手の心を切なく締め付ける作品である。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ No way to say 歌詞 - 歌ネット