黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

33rdシングル『INSPIRE』

INSPIRE

作曲:湯汲哲也

編曲:HΛL

 

アラビアンテイストのダンサブルなロックナンバー。PVでは、都会の街中、砂漠、海辺の3つの舞台にいるあゆのイメージが入り混じり、アグレッシヴに踊るシーンも見られる。いつも凝ったネイルアートを施しているあゆの爪には今回、長い長い尖った爪が付けられ、アジアのお姫様のような衣装と共に妖しい魅力を演出している。ジャケット写真のあゆも、妖艶に微笑んでいる。

シングルで3曲バラードが続き、特に前作ではこれでもかという痛切さが描かれていたが、今作は一転、強く前向きに攻める歌となった。「それってどういう言い訳」とか「そんなの承知の上」と、鋭く切り込むような表現が並ぶ。場の空気に合わせただけの笑顔やセリフはやめよう。生きていく上で悩むことも多いけれど、「確かな答えがあったらつまんないよね」。「人はひとりじゃ生きれない」というのは一見、弱みを歌っているようにも聞こえるが、「愛だとか夢だとかを 口にする事は カッコ悪い事なんかじゃない」という歌詞に、大切なものがあればこそ強く生きていけるという信念を感じさせる。

強い言葉をスパッと言い切る歌は、これまでなら『SIGNAL』や『SURREAL』などがあったが、今作はこれらに漂っていたそこはかとない孤独感や切なさすら感じさせず、「愛だとか夢だとか」という、少しスケールの大きなことも堂々と口にしている。また、デビュー曲『poker face』での「高すぎる壁 ぶつかったら キズを負ったら また立てばいい」という歌詞に比べると、今作は「そう何度だって立ち上がる 壁なんて壊してしまえばいい」と一段と強気な表現に驚嘆する。

攻めに攻めるあゆ、もちろんここで手を緩めるなんてわけではなく、「まだまだこれから」だ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ INSPIRE 歌詞 - 歌ネット

 

 

GAME

作曲:BOUNCEBACK

編曲:HΛL

 

静かで美しい幕開けの次の瞬間から、ハードロックで攻め立てるカップリング曲。デジタリックな効果音が時折響き、まさにゲームに挑戦しているかのよう。PVでは黒い衣装のクールなあゆがステージパフォーマンスをしているが、テレビ画面がたくさん現れたり、モンスターのようなキャラクターが登場したりと、やはりゲームの世界を連想させる。

どうしようもなく「あなた」を求めてしまっている「私」。それは「あなた」の温もりが消えたら「こんな体は何の意味をもつかな」と思うほど。主人公は人との関係を、ゲームを操作するような感覚で渡り歩いてきたらしい。「まるで何事もなかったかのように」振る舞ったり、「また探せばいい」と割り切って次へ進んだり。ところが今度だけは、いくら「大丈夫」と自分に言い聞かせてもうまくいかないのだ。

主人公のこれまでの処世術がいかなるものだったか、その辺りはあゆらしい繊細さでオブラートに包まれており、どちらかと言えば「あなた」の存在に振り回される心情へと目が向くだろう。終盤の「言って」から始まる懇願するような3つのフレーズの後は、デジタル音でかき消されるようにぶっつり切れて終わる。似たような表現を用いた『monochrome』と同じく、強い印象を残す終わり方だ。果たしてその結末はゲームオーバーだったのか、それともゲームクリアだったのか。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ GAME 歌詞 - 歌ネット