〔『(miss)understood』の記事 【前編】 【中編】 【後編】 〕
Will
HEAVEN
37thシングル。当該記事を参照。
Are You Wake Up?
作曲・編曲:CMJK
インストゥルメンタル。ギターのクールな音が印象的で、更に電子音が軽快さを与えている。爽やかな「目覚め」を演出した後、アルバムは明るい曲が続く。
fairyland
36thシングル。当該記事を参照。
Beautiful Day
作曲:GEO of SWEETBOX
編曲:tasuku
明るく清々しいポップス。サウンドが可愛らしく、軽やかな気分にさせてくれる。
わかれ道で選ばなかった方は、いつも輝いて見える。だから選択は悩ましい。明日は見えないから不安である。けれど「わかりきった明日」は「つまらない」はずだ。内容は『Will』にも通じるが、こちらはもう少し肩の力を抜いて、より前向きになれる描写である。「選びたいその答えを 選ぶのに躊躇しているだけ」「美しいことだけでは 美しいものは手に出来ない」という歌詞は、聞き手の心を掴む見事な表現だ。選んだことで、選ばなかった方を思い胸を痛めるとしても、それも目標へと向かい進んでいくには必要なこと。汚い真似をしろという話ではなく、美しいものは何の苦労もなしに手には入らないと教えている。
「It’s a Beautiful Day(これが美しい日)」という肯定と、「恐れる事などない」という呼びかけ。人生の教訓とも言うべき、悩める人の背中をそっと押すような励ましに満ちた歌だ。
歌詞リンク:浜崎あゆみ Beautiful Day 歌詞 - 歌ネット
rainy day
作曲:GEO of SWEETBOX
編曲:中野雄太
アルバムの最後を飾るのは、ほっと心を緩めるバラードだ。時計の針の音やオルゴールの音、ねじを巻く音などが織り交ぜられた、童話のように優しいサウンドは、凍える雨と、その中で感じる人の温もりとを両方思い起こさせる。ふわりと漂うコーラスがあゆのヴォーカルをそっと包む。
ある寒い日、強い雨に濡れることもいとわず、「僕」は「君」を待っていた。終わりだとしてもかまわないとさえ思い、微笑みながら。やがて現れた「君」を見て、泣き出しそうになる「僕」。二人を「一瞬の光が照らした」という場面で歌は終わるが、このとき流れるサウンドは「一瞬の光」に留まらず、雨上がりの虹までも予感させるほどに輝かしい。
この雨の日は、二人にとってどんな出来事だったのだろう? たまたま傘もなく雨に降られた待ち合わせ、その不運の中でふと互いの大切さに気付いたのかもしれない。しかし例えば、これが駆け落ちの約束だったとしたら? 冷たい雨は二人の障害になってきたものの比喩かもしれないし、「幸せに笑い合う人々」の描写や、泣き出しそうになったのをわざわざ「悲しみのせいじゃない」と断っていることは俄然、深い意味を持つだろう。
確かなのは、この雨の日が思い出として語られていることであり、「これからの行く道を祝うかの様」だと感じる光があったことだ。二人が描くドラマを想像しながら、雨の日にそっと聴きたい。
PVでも雨の降る日を舞台にしており、昔のハリウッド女優のようなあゆが街並みに映える。