2枚同時にリリースされたベストアルバム。最初の「A」はロゴ表記。
最初のベストアルバム『A BEST』は、リリース当時のまさしくベストな内容だった一方、あゆの意向にそぐわないものだったという事情もあった。今作はあゆ自身の意思があり、『A BEST』より後に発表した作品から、それぞれ『BLACK』は切ない系の楽曲、『WHITE』は明るい系の楽曲を中心に選んだという(「中心に」なので、中にはイメージと違うものもあるだろう)。シングル曲を全て入れたわけではなく、直近のアルバム『Secret』からも選出がない一方で、カップリング曲やアルバム曲から多くの楽曲が選ばれている。『A BEST』のときのような、ヴォーカルの再録やリアレンジはないが、全曲リマスタリングが施された。こうした過程に、並々ならぬあゆの信念が見て取れる。
ジャケットはあゆの顔のアップ。タイトルの通り、全体として『BLACK』は黒、『WHITE』は白が基調。共にCDのみとDVD付属盤がある。DVD付属盤はDVDが2枚付き、1枚目はそれぞれのCDに収録された楽曲のPVと、PVのない楽曲についてはCM映像を収録。2枚目はライブ「ayumi Hamasaki BEST of COUNTDOWN LIVE 2006-2007」を題材に、『BLACK』にはドキュメンタリーを、『WHITE』にはライブ本編の映像を収録した。CDのみの初回盤はカラートレイ仕様、DVD付属盤の初回盤はスリーブケースとカラーケース仕様となった。
『BLACK』
part of Me
作曲:湯汲哲也
編曲:HΛL
唯一の新曲。湯汲さんの楽曲は『Memorial address』、『Moments』、『JEWEL』など、以前から和声音階を使ったものが見られたが、今作もキラキラとしたロックバラードの中に色濃い「和」の世界を感じることが出来る。
「僕」は「君」に「生まれるずっと前 ひとつの命分け合って 生きていたんじゃないか」という想いを抱いている。それが別々に生まれてしまったことで、「自分を不完全に 思ってしまうんだろう」とも。陰陽説やソウルメイトのように、深い結びつきを感じる相手とは本来一つだったという思想は数多くある。この作品では更に輪廻転生に踏み込むことで、ロマンティックで神秘的な物語を描き出した。
「時々僕は思うんだ」「どうかもう 泣かないで」「いつまでも いつまでも 君を想うよ」という呼びかけが切々と響き、想いの深さを表現する。「生まれ変わったら ひとつの命分け合って 生きて行くんじゃないか」とまで主人公は考えた。こんな境地に達するのはどんな時だろう? 何気ない日常か、愛を確かめた時か。今わの際か、まさに生まれ変わる瞬間か。
PVはやはり「和」の美しさが際立ち、命の尊さや生まれ変わりに想いを馳せたくなる内容である。解かれたあゆの髪が広がっていく場面は圧巻だ。
歌詞リンク:浜崎あゆみ part of me 歌詞 - 歌ネット
元はミニアルバム『Memorial address』にボーナストラックとして収録されていた楽曲で、今回は『part of Me』から再生を続けていると始まるシークレットトラックとなった。やはり歌詞は掲載されていない。
『WHITE』