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Sparkle
45thシングル。楽曲については当該記事を参照。
PVでは冒頭、いわゆる「聖子ちゃんカット」で80年代のアイドル然とした、可憐なあゆが登場。楽曲にそぐわない雰囲気で歌い出したかと思いきや、強烈な色が印象的な空間へと唐突に切り替わり、レザースーツ姿のあゆが鋭い視線を飛ばしながらパフォーマンスする。アイドルの場面で一瞬だけ映る歌のランキングは全てあゆの楽曲で、メイキング映像でより詳しく確かめるのも楽しい。
rollin’
作曲:中野雄太
編曲:CMJK
デジタルサウンドが特徴的なこのアルバムの中でも、最も機械的で無機質なメロディーラインを持つと言っていいだろう。曲調がデジタリックなのはもちろん、ヴォーカルにエフェクトをかけたAメロは同じ音が一直線に並び、サビもあまりメロディアスではなく、クセの強い印象を残す。
そんな曲に載せた歌詞の内容は、しかし意外にも闇が深い。「期待した事こそが 失敗の始まり」「解っているのに 頷けない」と、なす術もなく呆然としている様子が思い浮かぶ。何があったのかは詳しく書かれていないが、費やした時間も想いも「一瞬で全て 塵となる」という、虚しくなるような状況がそこにある。「世界が回る 生まれ変わるスピードで」「時代が巡る 終わりに向かうスピードで」。手に負えるものではなさそうだ。
これは『too late』や『Mirrorcle World』で垣間見られたような、自分で選んだ道においても避けられない苦悩を描いたものか。それとも、例えば社会や自然環境といった、大きな力で動いている仕組みの中の混乱なのか。確かなのは「元居た場所には もう二度と戻れない」ということ。以前の状態に戻すのは不可能で、答えはこれから先にしかない。あゆのヴォーカルがロボットのように淡々としているのがかえって不気味で、厳しく残酷な現実を浮き彫りにする。
歌詞リンク:浜崎あゆみ rollin' 歌詞 - 歌ネット
GREEN
44thシングル。当該記事を参照。
Load of the SHUGYO
作曲・編曲:CMJK
インストゥルメンタル。忍び足で駆け抜けるような、怪しげで緊張感のあるアップテンポな曲で、途中の激しいギターが特徴的。
identity
作曲:編曲:中野雄太
雰囲気としては『1 LOVE』に似ているハードロックだが、ところどころにあるデジタルサウンドの強調やエフェクトのかかったヴォーカルなどがやはりこのアルバムらしさを演出している。
歌詞では、表面的な付き合いで「余計に孤独になってる」人、他人を思いやるポーズで実は「自己満足したいだけの」人に、びしっと厳しい忠告を突き付ける。「どんな巧みにデコレーションしたって」という言葉には、『alterna』で必要以上のモノを「大抵飾りだった」と言っていたのを思い出す。真実が見えなくなるほど、自分の心をごまかし、上辺だけの「デコレーション」をかぶせていないだろうか? と考え直したくなる。「解ってるんでしょう?」という問い掛けが鋭く刺さるのだ。
対して、主人公「私」の姿勢はきっぱりと潔い。「性懲りなく真っ直ぐぶつかっちゃう」「どう思われたいとかなんて重要じゃないの」と、生身の自分をさらけ出す。「私」が「余計に孤独になる」ようなことや「自己満足」のために他人に関わるようなことはしないだろうし、逆にそのような人のために自分を見失うこともないだろう。こういった内容も『1 LOVE』に通じるものがある。「ID ID」という繰り返しは小気味良いリズム感も醸し出している。
歌詞リンク:浜崎あゆみ identity 歌詞 - 歌ネット
あゆりあです。
久しぶりの更新を、あゆのデビュー日に致しました🎶
マイペースですがまたよろしくお願いします。