黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

再考:『YOU』

参照:2ndシングル『YOU』

 

YOU

  

春夏秋冬の細やかな表情を描く歌詞が、明るくキラキラとしたサウンドの、ゆったりと穏やかなこの2ndシングル曲で既に現れている。「夢中になっていく」日々を綴っているのだが、「夏の雲途切れては消えていった」のような、そこはかとない哀愁が特徴的だ。楽しい思い出ばかりを振り返るのではなく、かと言ってあれやこれが辛かったと言うのでもない。ただ「君」と共に経てきた季節の景色に託している。

また、あゆ作品では相手の様子を表す時に「横顔」という単語もよく見かける。側にいる、肩を並べて歩いている……その言葉からどんな二人を思い浮かべるだろうか。今作ではその「悲しい程キレイ」な横顔には「何ひとつ言葉かけられ」ず、相手の苦労に「気付かずにいてごめんね」という心情を抱き、「支えにいつかなりたいと願うよ」と歌われる。やわらかい口調が健気さと素朴さを持って胸に迫る。

「だけど最後にたどり着く場所って…」という、未来に思いを馳せる描写もある。この二人が『Dearest』のような「遠まわりしたけど 辿りついたんだね」という境地に至るかどうかは分からない。ただあゆは、「言葉にならない様な 思い出だとか 気持ちを抱え」たその実感を歌い、生きている。

PVでは、ステージ上のあゆと言うよりも、日常を絵画の額縁で切り取って覗くかのよう。油絵の具のように塗られた空間と対比して、終盤は一気に解放感が吹き抜ける。