黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

再考:『Depend on you』

参照:5thシングル『Depend on you』

 

Depend on you

 

「目指してたゴールに届きそうな時 本当はまだ遠いこと気付いたの?」「ずっと飛び続けて 疲れたなら」描かれている現実はなかなか厳しい。心の逸る曲調でも、勢いに任せて自由に羽ばたくのではなく、これからが辛いところだと言うかのような歌詞だ。デビューから間を置かずに5枚のシングルを出したあゆは、どんな景色の中、どんな目標を掲げていたのだろうか。「不安と希望に満ちて」いたのだろうか。

全てを楽観視できるわけではないからこそ、「私はここにいるよ」という言葉の温かさにほっとする。「そこからふたりで始めよう」と言う「私」の姿は、そのまま、「あなた」が「全てを捨ててもいい程」の覚悟で旅立つ力になるだろう。

PVでは、薄暗い景色の中であゆが歌っている。寄る辺ないイメージだが、夜明けに向かって一人立つ姿は決意の固さを印象付ける。

 

 

Two of us

 

「色あせたソファー」「ふたりでみた映画」など、アイテムの具体性がそのままふたりの関係を表し、「受話器の向こうの女(ひと)はきれいな声をしてた」という事実の描写が、主人公の心情を雄弁に語る。静かな小説を読んでいるかのようだ。デビューから1年のうちに、「愛されていたくて 愛してたワケじゃない」「もうどこにも 期待なんかは出来ない」と、ある種達観したような歌詞を世に出す、その表現力に驚かされる。

あゆ作品に描かれた恋にも様々な形がある。もっと抽象的で行間が広いものも、未練を激しく露わにしたものも。経験を経て、扱える感情の数は増えたのかもしれない。この貴重な初期作品は、どんな恋愛を元に描かれたものだったのだろうか。