黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

11thアルバム『Rock’n’Roll Circus』(後編)

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Sexy little things

作曲・編曲:中野雄太

 

軽やかに飛び跳ねるような、何処かおかしみを誘う曲調で、エレクトロ・スウィングの趣もある。歌詞は前曲『Lady Dynamite』に引き続き、女性に求められがちな役割に対する抗議となっているが、そのアプローチは一味違う。『Lady Dynamite』ははっきりと男性にNOを突き付けたが、こちらは一応、表向きはおとなしく聞き役に徹している。

「君が一番だよ」に漂う、慣れたような雰囲気。「幸せにしてあげる」に含まれた、一方的な自己満足。主人公はとっくに見抜いている。見抜いていながら、男性の好きにさせている。相手は自分を見て、何も知らずに頷いているのだと思うだろうか? 「オンナは意思も欲望もない」のだと思うだろうか? それは「大きな間違い」だ。敢えてそういう態度を装い、「格好つけられる環境」を提供しているだけ。「×××」というぼかした表現や、「オンナ心とナントカの空は」と言った冗談めかした言い方に、相手を手のうえで踊らせて内心笑っている主人公の姿が見て取れる。憎らしくはない。あゆのすましたヴォーカルからは、小悪魔的な色気さえ漂う。

こういう女性を、狭苦しい女性像を求める側が利用しようと試みることがある。表面上でもいいから無知で受け身な態度を取ることで、上手く男性を転がす女性が賢い……というように、結局は女性を男性に従順な役割に押し込めるロジックに用いるのだ。だが、この女性はそうした魂胆さえお見通しだろう。何より、この歌の歌詞が『Lady Dynamite』と同じ人物によって書かれたことを忘れてはならない。調子に乗っていれば、そのうち「悪いけど黙っててくれる?」と突き付けられるのがオチだ。

PVは、非現実的な空間の中で、奇抜なファッションの人々が目的不明の行動を見せる。赤と黒と白のコントラストが強烈な中で、あゆが歌う。『Microphone』のPVと繋がっている。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Sexy little things 歌詞 - 歌ネット

 

 

Sunrise ~LOVE is ALL~

46thシングル。当該記事を参照。

 

 

meaning of Love

作曲:湯汲哲也

編曲:HIKARI

 

ダークさが貫くこのアルバムにおいて、恐らくはもっとも素朴で温かな楽曲だろう。バラードに載せて歌われるのは、真っすぐで飾り気のない愛だ。

「嬉しそうに目尻を下げてくしゃっとあどけなく笑うとことか」「子供みたいに急にふてくされたりとか」「涙もろいとことか」と、「あなた」の好きなところを語る主人公。ここに挙げただけでも細かいところを見ている印象だが、本当は並べだしたら「キリがない」とのこと。二人の間には、今だからこそ笑い話にできる事も、今でも胸が痛むような事もあると言うが、それさえも愛を教えてくれる想い出となっている。こうして相手のこと、二人のことを一つ一つ大切にしているからこそ、『You were...』のようなシチュエーションでは「ひとつも忘れたくない」となってしまうのだが、この歌の二人にはどうかずっと一緒であってほしい。

主人公は、キリがないほどの好きなところで溢れた「あなた」に、「変わらないで」「そのままでいて」と願う。飾らないその人が、ただ側に居るだけで感じる、カタチのない想い。それこそ人間が「愛」と呼ぶものなのだと分かった実感が、丁寧に歌われている。あゆ自身は、『WE WISH』で「装いばかりで繕いはじめて 肝心な事に気付かされる」、『alterna』で「大抵飾りだった」という思いを抱いたり、このアルバムの初めでは「自分があってこその変化」を歌ったりしているが、それは後戻りできない道を歩む中で、尚自分で選んできた生き方であろう。そんなあゆが、愛する人に「変わらないで」「そのままでいて」と語りかけることを思うと、よりメッセージが真っすぐに心に入ってくるのではないだろうか。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ meaning of Love 歌詞 - 歌ネット

 

 

You were...

47thシングル。当該記事を参照。

 

 

RED LINE ~for TA~ [album version]

47thシングルのカップリング。シングル収録時には歌詞が掲載されていなかったが、このアルバムでは手書きの文字で読むことが出来る。アルバムバージョンとして、演奏時間が少し長くなっている。楽曲の詳細は当該記事を参照。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ RED LINE ~for TA~(album version) 歌詞 - 歌ネット