黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

12thアルバム『Love songs』(中編)

〔『Love songs』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

 

insomnia

作曲・編曲:小室哲哉

 

インストゥルメンタル。無機質に刻まれるリズムに、時折ピアノが滴り落ちる雫のように鳴り響く。タイトルは「不眠症」という意味。どことなく緊張感のある空気には、あからさまな悪夢とは違う不穏さがある。

 

 

Like a doll

作曲:小室哲哉

編曲:CMJK

 

ピアノと共に、ゆっくりと噛み締めるようなサビから始まる。「少しでもいい 聴かせて」という問い掛けの後、曲はテンポが速くなるが、曲調はあくまで抑制的、シンプルでクールである。それは、歌詞に描かれている「君」の、「心の声を閉ざした」様子と重なる。「Like a doll」というコーラスの繰り返しが淡々と響く。

笑顔は「仮面を貼り付けて」演出し、涙はフェイクに見せる。はしゃいだりおどけたりしながら、こっそり背中を震わせている。何を隠すための笑顔だったのか、涙を流した本当の理由は何だったのか。いずれにしても、「君」が相手に本心を悟られないようにしていることには変わりない。愛する気持ち、敬う気持ち、諦めない心、信じる心。そんな人間としての感情を捨てて、ただ人形のように、ずっと同じ笑みを浮かべていればいい。そうすれば傷つかずに済むから。ただし「喜びもないけれど」。冒頭で主人公は「君」の過去にある悲しみを想像しているが、二度と悲しみに出会わないために、喜びをも諦めてしまったのだろうか。

しかし、そんな「君」の様子は単なる周囲へのポーズに留まらず、「君」自身をも欺いていることを主人公は見抜いている。人間らしい感情を忘れてしまうなんて、「出来ないことにそろそろ 気付き始めているんでしょう」と。そして、「死んだように生きないで」と呼び掛ける。

テーマが似通っている楽曲として『GUILTY』収録の『Marionette』が思い浮かぶが、『Marionette』が自分自身と向き合い意志を強く持とうとするのに対して、こちらは他者や世界との関わりを問う側面が強いのではないだろうか。心を外へとさらけ出せば時に傷付くが、喜びに出会うこともある。『Love song』でも、例え苦難があったとしても譲れない想いのない人生はつまらない、と歌ったように、悲しみを避けるために喜びまで失うのは「死んだように生きる」ということ。誰かや何かを愛し、信じる心は、人間である以上、なくせはしないのだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Like a doll 歌詞 - 歌ネット

 

 

Aria

作曲・編曲:中野雄太

 

インストゥルメンタル。ストリングスのメロディーが感傷的な美しさを奏でる。ふわりと漂うようなコーラスが加わった後、何か素晴らしいものが待ち受けるような期待感が徐々に湧き上がる。

 

 

 

blossom

48thシングル。当該記事を参照。

 

 

Thank U

作曲:小室哲哉

編曲:中野雄太

 

あゆとファンが一つになれる歌の数々に連なる1曲。シンプルな構成ながら、真っ直ぐな想いに溢れた作品だ。曲調も疾走感と高揚感の掛け合わせで出来ていて、明るく軽やかである。

歌を通して貫かれているのは、「かけがえのない一日を君と分け合えた」という実感である。君が君で居て、生きてきたその一日を分け合えた。そのことに対し、惜しみなく感謝を伝えている。「聴こえているよ」「映っているよ」と、応援する一人一人の想いを確かめるように綴っているのだ。あゆがそんな気持ちでステージに立つからこそ、ファンもまたますます応援する。その互いのやり取りがまさに、同じ時間を「分け合う」ということだろう。何度も繰り返される「lalalala」はあゆとコーラス及び聴衆の掛け合いになるように作られているが、この具体的な言葉のない高らかな声のやり取りに、限りのない「ありがとう」が満ちている。

この感覚の裏にある価値観は、「明日が来る事への 確約なんてないから」という歌詞に端的に表れている。『RED LINE ~for TA~』で、今日という日は誰かが諦めたくなかった明日である、と示したように、この日のステージも、それを観に来るお客さんも、決して当たり前に存在しているものではないのだ。そうして迎えることのできた貴重な時間は、その時限りのものでもある。二度とない刹那、様々なことを乗り越えてファンと共に生きていると感じながら、あゆは歌うのだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Thank U 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

今日はあゆのデビュー日です。おめでとうございます🎊

早速嬉しいトピックも聞こえてきますね。

 

一方の私と言えば……この有り様です。言い訳のしようものない😢。

見捨てずに見守って下さる読者の皆さんには感謝とお詫びしかありません。