〔『LOVE again』の記事 【前編】 【中編】 【後編】〕
glasses
作曲・編曲:中野雄太
インストゥルメンタル。ひずんだ音で奏でられるサウンドは何処か不安そうな空気をまとう。ストリングスやピアノ、加工されたヴォーカルが時折、曇った視界の中で見つけた一筋の光のように、鋭く響く。
untitled for her...story 2
作曲・編曲:中野雄太
タイトルから、『GUILTY』収録の『untitled ~for her~』の続編である事が分かる。前作と同じく清らかなイメージのストリングスとピアノから始まり、後半にゆっくりと盛り上がる曲調に乗せ、変わらない、いや、募り続ける想いを歌う。
流れたのはちょうど五年の月日。「もう大丈夫 乗り越えた そんな顔をして」きた「私」は、しかし変わらないままの願いを抱えている。「一度だけ もう一度だけ」という繰り返しや、「手を繋いで 歩きながら 些細な事で泣いたり 笑ったり」という前作にもあった描写が、願う強さを印象付ける。
一方、「~です」「~ます」の丁寧語で締める形は、前作とは少し違う点だ。相手の呼び方も「君」から「あなた」になっている。思いが消えないとは言え、悲しみにはひと段落付いたのか。あるいは、より真摯に祈りを捧げる気持ちからか。いずれにせよ、願いを一つずつ噛み締めて積み上げるかのように響く。
「聞いて欲しいストーリー」が増え続けていくのは、「果てなき道のり」を行ってしまったその人から答えを聞けないからだろう。「私」はただ、「あなた」に苦しみがないようにと祈り、いつか逢えたら「嫌がられるくらい 抱きついてみてもいいですか」と願う。この「嫌がられるくらい」が何とも切ない。「私」が「いつかのその日」までに積み重ねるであろう想いは計り知れず、その再会の時を今から思い浮かべてしまいそうになるのだ。
歌詞リンク:浜崎あゆみ untitled for her... story 2 歌詞 - 歌ネット
Gloria
作曲:星野靖彦
編曲:中野雄太
前曲に続き、穏やかかつ壮大なバラード。やわらかな言い回しの歌詞で綴られる内容は、しかしその実生易しいものではなく、さりげない形で人生の厳しさも描きながら、最後には「明日へのエール」につなぐ。
すぐに忘れてしまうこと、欲張りになってしまうこと。歌われるのは「僕ら」のそんな性質だ。例えば『Dearest』の「忘れゆく 生き物だけど」、『no more words』の「生きる程に忘れてく」には哀切が漂っていたが、ここでは曲調や「何だか僕らは すぐに忘れてしまうね」という大らかな言い方のお陰か、悲しい気分にはならない。いい意味で吹っ切れているというか、そういう「僕ら」なのは仕方ないとして、その上でどう生きていくのかという事の方に、よりスポットが当たっているのかも知れない。
「いっぱいの愛」だけではない、「ここにある現実」も共に「ぎゅっと抱きしめ」る。「飛び出した感情だとか 尖ったままの言葉」があっても、見たもの、触れたものを信じる事はやめず、「選んで決めて背負って」いく覚悟もある。“前向き”と簡単な一言では表せない心境だろう。次の『Ivy』も人生を広く遠く見渡す視点のある曲だが、『Ivy』が変えられない過去や犯した罪をさらけ出していくシリアスさが強いのに対し、今作はあらゆる事を「栄光」とする肯定的なイメージに満ちている。美しくて見栄えのいいところだけを集めたものが「栄光」なのではない。傷や弱さ、どうしようもない現実も含めて生きていく事が「栄光」なのだ。
歌詞リンク:浜崎あゆみ Gloria 歌詞 - 歌ネット
Ivy
4thミニアルバム『again』収録曲。当該記事を参照。
You & Me
ベストアルバム『A SUMMER BEST』収録曲。当該記事を参照。
浜崎あゆみさん、デビュー25周年おめでとうございます🎶🎤💖
四半世紀もの間、アーティストとして歌を届け続ける事はどれほど大変だったでしょうか。
楽しい話題、スペシャルな話題もあって嬉しいです。
これからも応援しています😊