黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

17thアルバム『M(A)DE IN JAPAN』(中編)

〔『M(A)DE IN JAPAN』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

 

Survivor

作曲:ティム・ウィラード

編曲:中野雄太

 

前曲から一転、アップテンポでダンサブル、アグレッシヴな楽曲である。歌詞もシリアスではあるが前向きで、歌詞カードの写真もこの曲から明るいトーンになる。色濃い影から始まったアルバムを、次のフェーズへとつなげる。

目の前の街並みを「コンクリートジャングル」と呼び、「ねぇ此処よりも シュールな街ってある?」と表現する主人公の「僕」。曰く、「カワイイ」の奥には「残酷さ」が潜むと言う。「外の人達」を惹きつけるその華やかさは、決して美しくないものに支えられているのか。表で栄華を極める人と、裏で追い詰められている人との、格差が甚だしいのか。思えば都市部の過剰な消費活動は『Mad World』で描かれたような環境破壊にもつながるし、女性をテーマに描いてきたあゆなら、「カワイイ」が時に女性への抑圧になってしまう事も踏まえているかもしれない。いずれにせよ、物事の複雑さを注意深く見定める視点がそこにはある。2番の「優しい笑顔のあの人」を「もしかしたら あれは泣き顔だったかな?」と気に掛ける歌詞も、根本的には同じ発想だろう。

「夢に焦がれたのはもう いつかの遠い昔 この頃じゃリアルにしか惹かれない」と言い切るハートの強さも頼もしい。現実の厳しさを目の当たりにして尚、その現実にこそ惹かれるというのは、世界は変えられるのだと信じているからだろう。そして、どうやって変えていくのかと言えば、「地球とかそんな大それた 事を言ってるんじゃない 例えば隣のあの子とか」と述べる。これこそ、『Mad World』で途方に暮れていた主人公へのアンサーではないだろうか。あるいは、「目の前の悲劇にさえ対応できずに 遠くの悲劇になど 手が届くはずもなく」という『immature』の歌詞を、より前向きに言い換えたものかも知れない。世界に思いを馳せるのと、個人に思いを寄せる事は決して相反するものではなく、手の届く範囲で行動する事こそ、世界を変える一歩なのだ。

サビは「fly fly fly fly fly away」「try try try try try again」と畳み掛けるように歌われ、「だから君と僕は 生き抜こう」と締め括られる。力強く語って生き抜いていく「僕」の手を、聞き手は取らずにはいられないはずだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Survivor 歌詞 - 歌ネット

 

 

You are the only one

作曲:ティム・ウィラード

編曲:中野雄太

 

朝靄が晴れ、空気が澄んでいく中でゆったりと今日を迎えるような雰囲気で始まり、徐々に開放的で分厚くなっていくサウンドが特徴。とりわけ、転調してからの伸びやかな展開のヴォーカルが心地良い。

しかしそんな穏やかな曲調とは裏腹に、短くも重みのある言葉が並んでいる。「君」について「めちゃくちゃだったり 道外したり」と表現していたり、「まるでこの世界の 終わりみたい そんな日も確かにある」という実感を打ち明けたり。けれど、「君」が上手くいっていなくても、世界に裏切りを感じても、主人公は「Only one」の「君」を見守っている。「これ以上 君を好きにはもう なれないくらい 愛してるよ」と惜しみなく歌う。

きっと、「君」さえいればどんな世界でもやっていけるというような単純な話ではないし、「君」も主人公に見守られたからといって「めちゃくちゃ」なのは変わらないだろう。それでも主人公は全てをひっくるめるように、「君」が「Only one」であるという、永遠に変わらない事実を讃えている。それどころか、「もし君が哀しい時は 世界一のピエロになるから」とまで言う。「ほら未来が叫んだ 今が答えじゃないと」とあるように、今起きた挫折なり失敗なりで先々まで決めつけたりはしない。唯一の存在であることを、「You are the only one」というとてもシンプルな繰り返しで肯定するフレーズを聞いているうちに、ゆっくりとでも歩いていけそうな気分になる。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ You are the only one 歌詞 - 歌ネット

 

 

TODAY

作曲:上野シュン

編曲:佐藤あつし清水武仁

 

Greatful days』『how beautiful you are』『Hello new me』など、「特別ではない今日一日」を生きる事の大切さをあゆ作品は繰り返し伝えてきた。その精神性が満を持してと言うべきか、ずばり『TODAY』というタイトルの楽曲として描かれている。ライブの終盤にぴったりの、胸に沁みるバラードだ。

「特別な日じゃないけど 記念日とかでもないけど 君の誕生日でもないけど」という歌詞の先に真っ当にやってくる、「なんでもない今日が宝物」。結局のところ、「なんでもない今日」に「一緒に笑い転げていられる」幸せを積み重ねていく事が大切なのだ。ところで「君の右側」という言い方は、『count down』の「あなたのその左側」とは逆である。歌の内容もまるで違うが、何か意味があるのだろうか。

「他人を傷つけてダメに する事で自分の傷を 癒せる気がしてるのかな」という歌詞の通り、残念ながら傷つけようとしてくる人はいる。ことこの現代は、匿名で簡単に人を攻撃出来てしまう時代だ。しかし主人公は「誰かの理想のために生きないで」と願う。大切な一日を、他人の言葉で乱されてしまってはもったいない。

サビの「例えばそう僕らは永遠(とわ)に 生きて行けるわけじゃないから 限りある時間のなかで どれだけ愛せるかなんだよ」というメッセージは飾り気なくストレートだが、「特別ではない一日」には忘れてしまいがちでもある。特別でなくても、限りある時間には変わりない。限りある人生は、誰かの理想ではなく自分のために、傷つけるのではなく愛するために使いたいと、想いを新たにしてくれる作品である。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ TODAY 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

浜崎あゆみさん、お誕生日おめでとうございます🎊

昨年は47都道府県ツアーを駆け抜けましたが、休むことなくまたも大きな計画があるのですね!

まだまだ残暑がある中ですので、どうか体調にだけはお気を付けて過ごして下さい💖

 

さて、お読みになっている皆さん。

今年このブログは、去年に比べればまあまあ更新しております。本当に去年は少なかったのでさすがに反省しました💦

そしてその事により、リリース分に追い着くのもだんだん夢ではなくなってきています。

もちろん、追い着いた後はリリースごとに記事を挙げていきますし、他にも色々考えてはいますよ🎶

まずは最低限、この更新頻度を落とさないよう頑張ります。