黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

17thアルバム『M(A)DE IN JAPAN』(後編)

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Mr. Darling

作曲:湯汲哲也

編曲:中野雄太

 

HONEY』や『meaning of Love』のような、素直に可愛らしく「愛しい人」へ想いを伝える楽曲。オルタナティヴ・ロックの曲調で爽やかに響き渡る。

歌われる言葉は実にシンプルだ。「何の取り柄もない私でも あなたのためとなると何故か 不思議な力湧くのよ」と、愛がいかに強い原動力となるかを伝えている。『Shape of love』では傷ついてもなお感じる愛の力を切々と歌っていたが、今作ではあまりシリアスではない形で愛の力が示されていると言えるだろう。ファンとしては、「何の取り柄もない私」というところには意義を唱えたいものだが……。

サビでは「もっと側にいて」「ずっと側にいて」と願いが繰り返される。「私らしい私」「ありのままの私を見て」とさらけ出せるほどの側にいてほしいのだから、全く飾り気なく心から想っている事が伝わってくるだろう。そして相手に対しても、「あなたらしいあなた」「ありのままのあなた」を見せてほしいと願う。

「私いつでも今日を1番キラキラにしていたい」という歌詞に、やはり今日という日を大切にする心境が描かれている。この「キラキラにする」とは、飾り立てるという事ではない。「ありのままの私」「ありのままのあなた」そして「ありのままの2人」でいる事なのである。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Mr.Darling 歌詞 - 歌ネット

 

 

Summer Love

作曲:丸山真由子

編曲:tasuku

 

夏に向けてアップテンポに心を浮き立たせるEDM。ダークでシリアスな楽曲から始まったアルバムのボルテージは、ここで最高潮に達する。

オリジナル楽曲として最後の収録は、あゆが数々生み出してきた夏歌に連なる作品だ。EDM調の夏歌と言えば『You & Me』があるが、高揚感ある曲調と裏腹に失恋が描かれていた。今回は夏に向けて上向いていく心境がそのまま描かれる。

Aメロ、Bメロのメロディーはややシリアスではある。「ワクワクが止まらない」「いつもより大胆になる」と夏に期待しつつも、「言わずにいる言葉たち(壊したくはないから)」と、もどかしい想いも抱えている様子がそのメロディーにマッチする。「誰想ってるの Tell me どうして僕じゃだめなの」という歌詞を見るに、まだ「僕」と「君」は近付き切っていないらしい。だからこそ、転調したサビで繰り返される「So I LOVE YOU」「More I LOVE YOU」の、ぱっと目の前が明るくなるような解放感が清々しい。「太陽めがけて 僕らの夏始めよう」「難しい事は 抜きにして飛び出そう」というエネルギーに満ちた描写が、聞き手にも元気を与えるだろう。

「夏のせいにして 毎日伝えたいよ」「君の瞳に 恋してたい」というストレートな言い方も、「夏の魔法」の成せる業だろうか。直近の夏歌である『Summer diary』での恋は、後に『Winter diary』によって上手くいかなかった事が分かってしまったが、今度の「僕」と「君」には夏が終わった後も心を通わせていてほしいものだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Summer Love 歌詞 - 歌ネット

 

 

Many Classic Moments

作詞・作曲:小室哲哉

編曲:Yohanne Simon for RedOne Productions, LCC

 

小室哲哉さんのユニットglobeの楽曲をカバー。元はglobeのトリビュートアルバム『#globe20th -SPECIAL COVER BEST-』収録曲で、ボーナストラックとして再録。

ラップ部分がない事やアウトロが短い事を除けば、概ね原曲の雰囲気が残っている。淡々と積み重ねながらも突き進むような曲調を、あゆの真っ直ぐなヴォーカルが表現している。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Many Classic Moments 歌詞 - 歌ネット

 

 

Winter diary(PV)

Winter diary ~A7 Classica~』収録曲。歌詞については当該記事を参照。

PVは、穏やかで優しい曲調とは全く異なり、物騒で衝撃的な内容。あゆが男性と組み、カジノで遊興したり、大量の紙幣をばらまいたり、果ては強盗まで……。強盗のシーンで着ているサンタクロースの格好が季節感を表現しているが、何処までが夢で何処からが現実か、あゆと男性がどんな関係なのか、色々と考えてしまう不思議な構成となっている。