黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

18thデジタル・ダウンロードシングル『Aurora』

Aurora

作曲:原一博

編曲:中野雄太

 

太陽が起こす天体現象、オーロラ。空から幕のように下りるその美しい光が頻繁に見られるのは北極や南極に近い地域で、日本では時折、北海道から観測される程度である。しかしあゆが今作『Aurora』をリリースした年は奇しくも、太陽の活動により、北海道以外でも日本各地でオーロラを楽しむ事が出来た時期であった。

まるで未来からの呼び声のように響く、「We will find the aurora(僕等はオーロラを見つけるんだ)」というフレーズが耳に残る。主人公の「僕」は、明日が選べる局面にある時、「未来とかじゃなくて これまでをたくさん話そう」と考えるようだ。あゆ作品は『evolution』や『progress』などがそうであるように、前進する時にこそ過去を丹念に振り返ることがよくある。これまでの積み重ねの末に現在地に立っていることを考えれば、自ずと選ぶべき明日は見えてくるという事だろうか。

そして、過去を美化しがちな事への敏感さも、これまたあゆ作品ではよく見られる。振り返る「これまで」は良い思い出ばかりではない。「涙止まらなかった日」「嵐の真ん中に立った日」にも言及するのである。

サビで登場する「君」が、「もう嫌だ」の後に「負けない」と呟くところも胸を打たれる場面だ。「もう嫌だ」と口に出すほど過酷な道程だったはずだが、尚も「負けない」と決めるのも紛れもない本心なのである。「僕」はその決意に、「精一杯手を握る」という行為で返す。「正義みたいな顔して 戸惑ってんの隠して」進んできたという痛みを伴う歌詞は、ただの強がりや意地ではない。「失って来たのは 最後にひとつの何かを 一緒に見たいから」と、過酷さを乗り越えるだけの並々ならぬ理由が語られる。

「オーロラ」とは元々、ローマ神話における夜明けの女神の名前である。夜が明けた先に、選び取りたい明日はあるだろうか?他の何を失い「もう嫌だ」と思いながら、それでも目指すもの――繊細なピアノの音を織り交ぜつつ何度も転調するロックに合わせて歌われるのは、オーロラの見える夜空のように、夜の向こうにある新しい日の光のように、鮮烈な決意なのだ。

PVではオーロラの他、皆既日食、霧の立ち込める海面、稲光など雄大な自然を映し出す。日食の金環を真ん中に据え、その向こうにあゆとダンサーが感情を露わにしながらパフォーマンスしている姿を見せる。ジャケット写真は、オーロラをまとうように立つあゆの上半身を映している。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Aurora 歌詞 - 歌ネット