Free & Easy
作曲:CREA + D・A・I
編曲:HΛL
PVとジャケットはジャンヌ・ダルクがモチーフで、その波乱の生涯は悲壮で勇壮なイメージの楽曲に相応しい。なお、このシングル以降、リミックスの収録数がぐっと少なくなる。
楽曲の構成は『M』を思い出させるもので、サビが後半に集中しているが、この『Free & Easy』はとにかく起伏が激しい。イントロなどヴォーカルのない部分とAメロは、不穏で張り詰めた空気と切なげなピアノサウンドが交差する。Bメロはいきなり強いサウンドへ変わり、サビははっきりリズムを刻みながらたたみかける。シンフォニックな要素もあるシンセロックといったところだ。
歌の主人公である「私」は、「どこまで行けば辿り着くの」と時々自分に問いかけている。目指している場所がどの辺りにあるのか見当もつかない。そんな時、「あなた」の声が聞こえるという。「君の幸せが僕の幸せだ」と言ったその人が「負けないで」と奮い立たせてくれる……。
この歌詞からはつまり、「あなた」が現在「私」の側にいるわけではないことが分かる。その人はここにいない、けれど自分を励ましていると感じられる人。「あなた」もまた何かを目指していて、お互い辿り着いた先で会える、ということだろうか。主人公は、同じように「あなた」も挫けそうなことがあるかもしれない、そんな時はやはり同じように自分を信じてほしい、と願う。独りの心細さを振り払い、相手を想う描写が哀しくも美しく、そして勇ましい。
「私」にとっての「あなた」は、「汚れた世界(まち)」でも美しいものを見せてくれる人なのだそうだ。ラストは「時々自分に問いかけた どこまで行けば辿り着くのと」と過去形になる。旅が終わり、信頼で結ばれた人と遂に出会えたのだろうか。そうであってほしいのだが。