黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

17thデジタル・ダウンロードシングル『BYE-BYE』

BYE-BYE

作曲:多胡邦夫

編曲:tasuku

 

「童謡のフレーズも意識した」というコメントや、楽曲提供が『Together When...』『Days』などバラードを手掛けてきた多胡邦夫さんであること、老若男女に愛される「みんなのうた」に採用されたことで、発表前には可愛らしさや楽しさを盛り込んだ子供向けの楽曲を想像した人がいたかも知れない。しかしいざ解禁されたその作品は、ミディアムテンポのダンサブルなシンセポップに、シンプルながら難解な歌詞の載る、なかなかにビターな味わいのものだった。

「花いちもんめ」や「かごめかごめ」を元にしたフレーズや、「日が暮れると聴こえる あのうた」「手と手を繋いだあの 坂道」と懐かしさを呼び起こす歌詞。しかし楽曲のメロディーはダークでミステリアス、何処か緊張感もあるという不思議なバランスだ。1番では「生まれたときからずっと」探しているという「自分より大事なもの」について、2番では「見ないようにって」してしまいがちな「怖いもの」についてと、正反対とも言えるものについても語られる。

そして、サビとして繰り返される「今は君にここで、ばいばい。」が、とにかく強烈な印象を残す。あゆの歌詞としては珍しく句読点があり、読み聞かせをしているようなイメージだが、「未来で指切りして」というシーンが謎めいているのだ。何故主人公と「君」は、今はここで「ばいばい」しなければならないのだろう?未来に約束がある程の関係ながら避けられない別れ……特に子供時代に経験しやすい友との別れか、あるいは来世や転生といった壮大なスケールのものか。「ばいばいしたのは 後ろでしょう? ばいばいさせたのは 正面でしょう?」と、最後まで謎を問われて終わる。大事なものが見つけられたとき、見ないふりした怖いものと向き合ったとき、望んだ再会が果たせるのだろうか。考える程、何か人生の哲学のようなものにはまっていくような魅力がある。

PVでは、あゆとダンサーがブレザーの制服姿で高校生に扮し、同じ制服を着た子供達と共にパフォーマンスする。学校の教室に似せた空間に、重く暗い空気が漂う。ジャケット写真は、乱雑に積み上げられた机と椅子の前に立つ、同じく高校生姿のあゆの全身を映している。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ BYE-BYE 歌詞 - 歌ネット

16thデジタル・ダウンロードシングル『時代』

時代

作詞・作曲:中島みゆき

編曲:中野雄太

 

シンガーソングライターの中島みゆきさんの名曲をカバー。ジャケット写真は、明るいトーンのモノクロで映したあゆの顔のアップ。

静かに響くピアノから始まり、たゆたうようなストリングスと、ドラムのビートが徐々に加わる。2番の後には切なくなるようなギターソロが入り、その後は転調を挟み、最後のフレーズも溜めてから歌い終えるという畳み掛けで、視界が明るく開けるようなイメージへ。原曲の雰囲気を生かしつつ、あゆ作品として馴染み深い印象のロックバラードとなった。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ 時代 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

ハッピーバレンタイン💖💝💘

今日は甘いチョコレートと暖かな愛でいっぱいの日ですね。

近年は自分用チョコも流行っているそうですが、皆さんはいかがお過ごしですか?

大切な誰かとでも、お一人でも、チョコレートを楽しみながらあゆのラブソングを聴きましょう🎶

18thアルバム『Remember you』(後編)

〔『Remember you』の記事 【前編】 【後編】

 

 

オヒアの木

8thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

春よ、来い

11thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

taskinson

作曲・編曲:tasuku

 

恒例のtasukuさんによるインストゥルメンタル。EDM調で、オリエンタルなメロディーと共にあゆのヴォーカルがサンプリングされており、どこか妖しげな雰囲気を醸し出す。

 

 

MASK

15thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

VIBEES

作曲:加藤肇

編曲:tasuku

 

あゆ作品にたびたび「女性」をテーマにしたものがあるのは今や、改めて言及するまでもない。偏見を否定して真実を示したり、共に助け合って困難を乗り越える姿を見せたり……。そしてこの歌では、ファンキーなノリのEDMに乗せて、男性側の意識の変革まで明確に切り込んでいる。

「オンナって集団行動好きだよね」という男性の声に対し、「そんなに一匹狼だったっけ?」と返す主人公。「どっちかってゆーと仲間で集まって 幼稚な夢見てるイメージそっちだけど」と、いわゆるホモソーシャルなノリを痛烈に批判する。「そのつまんない話いつ終わるの」「誇張ストーリー」「武勇伝ってやつこっちが気ィ遣う」というところとも合わせ、『Lady Dynamite』を思い出させる描写だ。

また、「飾りじゃないって何回言わせるの」は、『my name’s WOMEN』の「私達着飾っただけの 人形なんかじゃないから」も踏まえているだろうか。こうして何度も訴え、少しずつ行動にも起こして来た女性達に対して、男性社会の理屈はなかなか変わろうとしない。そんな苛立ちが「何回言わせるの」から見て取れるようだ。いい加減にそちらも変わったらどうだと言わんばかりに、「Listen boys(聞きな、坊や達)」と繰り返す。

根深いのは「一度ふてくされたらめんどい」一方で「喜ばせたらやたらしつこい」というところだ。当然のように気遣いを求められるし、気遣っていい気分にさせると今度は付きまとわれる……そんな女性の体験談は枚挙に暇がない。

終盤の「鯉のぼりって天才」も面白い。男児の将来の出世を祈って揚げる鯉のぼり。しかしそんな祝い事をされるような年齢から既に、偏見は刷り込まれていく。既に母となっていたあゆが綴った事を思うと、そのユニークさの中にもずんとした重みが垣間見える。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ VIBEES 歌詞 - 歌ネット

 

 

Nonfiction (Yohanne Simon remix)

編曲:Yohanne Simon

 

13thデジタル・ダウンロードシングルのリミックス。ミックスバージョンの収録は『LOVEppears』以来となる。原曲と比べると、シンプルで、ダウナーな印象である。歌詞については当該記事を参照。

 

 

Just the way you are

作曲:原一博

編曲:中野雄太

 

アルバムの最後を飾るのは、胸に温かく満ちてゆくバラード。『how beautiful you are』も彷彿とさせる人生賛歌だ。

「just the way you are」……ただあるがままのあなたで。あゆ作品でたびたび歌われるテーマである。言葉にすれば簡単だが、貫くのは意外に難しく、しかしだからこそ目指したい。「どうして自分は周りと違う?」という悩みは、多くの人が一度くらいは抱いた事があるものだろう。

ただ、それだけではなく、「違うことは悪いことと 自分を押し殺して」「世界中がNoと言ったって」という歌詞の重みからは、特に社会的なマイノリティーに向けたメッセージ性も感じる。かねてからあゆが見せてきた、社会問題への眼差しや、それこそ『how beautiful you are』のPVの内容などを考えれば、そう考えても無理はないだろう。

主人公の「僕」は、「誰かより偉いわけじゃない 誰かより劣ってもいない」と言い切る。個性は一人一人違っているが、どれも皆素晴らしいという点で平等だ。マジョリティーかマイノリティーかということは、優劣を意味しないのである。伸びやかに、高らかに歌われる「僕は君の側で 君が君でいることの素晴らしさを 伝え続ける」という歌詞は、何と優しく、温かく、そして力強く、聞き手の心に寄り添ってくれる事だろうか。言葉はシンプルだが、2回目のサビが1回目の1オクターブ上で歌われるなどの楽曲の盛り上がりに合わせて、そのメッセージがすっと沁み込んでくるように思える。

Blu-ray及びDVDには収録されていないが、PVが存在する。お笑いコンビ・紅しょうがの熊元プロレスさんが、この歌を歌いながら町を歩き続けるというものだ。熊元さんがあゆの物真似をした事から、このコラボレーションに繋がった。確かな足取りで真っ直ぐに歩む姿が、「あるがまま」の人生に重なる。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Just the way you are 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

前編に加筆をしています。この頃は訂正ばかりですみません……。

18thアルバム『Remember you』(前編)

ベストアルバムを除けばフルアルバムとしては久しぶりのリリースとなったが、その数年の間に、様々な出来事があった。プライベートでは出産を経験し、世の中は新型コロナウィルスの流行で掻き乱され、あゆにとって公私を問わず状況の大きな変化があった事は想像に難くない。歌詞からは何となく察するしかないが、あの時代を経験した聞き手は特に様々な事を思い浮かべるだろう。カバー曲の『春よ、来い』も、いつも通りみんなでお花見が出来るような春を待ち望んだものにも聞こえる。

元より、あゆ作品は内省的、個人的な事と、広い世界に向ける視野とが違和感なく繋がるものも多く、こうして未曽有の日々が一つのアルバムに集まったのは、ある意味必然だったのかも知れない。あの時代を知っていても、知らなくても、その歌詞を一つ一つ刻み込むように聴いてみよう。

Blu-ray付属盤、DVD付属盤、CDのみ盤の3形態で発売。Blu-ray及びDVDには、7曲分のPVとメイキングを収録。また、「a-nation online 2020」を収録したBlu-rayまたはDVDとフォトブックがセットになったファンクラブ限定盤もある。ジャケット写真は、裾の長い黒いドレスを着たあゆのシックかつラグジュアリーな雰囲気のもので、CDのみ盤は上半身、他は全身を映している。

 

 

〔『Remember you』の記事 【前編】 【後編】

 

 

Nonfiction

13thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

(NOT) Remember you

作曲:加藤肇

編曲:中野雄太

 

これほどまでに強い拒絶と怒りを描いた作品が、過去あっただろうか。『23rd Monster』の「クソ喰らえ」、『Nonfiction』の「shit」と強い罵倒語が続いた末に、今回は遂に「fuck」とまで使っている。もちろんあゆ作品は負の感情も包み隠さないし、無理解な人や害をなす人と無理に一緒にいようとはしないが、今作の表現は、余程の何かがあったと察して余りあるほどに直接的で口汚い。攻撃的なデジタル・ロックに合わせ、「Who the fuck are you?(誰なんだよテメーは)」「YOU達は記憶から既に消去済み」と、突き放す事さえ通り越して最早無関係だと締め出している。

「馬鹿やってんじゃない」「どのツラ下げて」「底辺のその更に下のライン」……次々に繰り出される、これ以上ない罵倒の言葉。一体「YOU達」は何をやらかしたのか。具体的な事は分からないものの、「笑顔奪われた小さな命」「無償の愛をくれたものたちどんだけ欺いた」と言うからには、こうして歌に残してしまうのも頷ける程の深刻な事態だったのだろう。怒りの大きさは、それだけ信頼していた事の裏返しでもある。「大切だったよ」「でも過去形だよ」という歌詞には不意に悲しみも漂う。

ただ、この歌はこうした怒りと対照的に、サビでは信頼出来る仲間との幸せも歌われる。悲しみや苦しみを「自然と癒してくれる仲間が居る」、「そんな君を見て僕が泣く そんな僕を見て君が泣く」。三連符のリズムと「てかね」で始まるサビは『EnergizE』も思い出せるが、あの軽快さとはまた違う底力が描かれている。最早誰も信じられないと嘆くのではなく、ある意味裏切りによって、変わらず信じ合える人との絆もより強く感じられたという事ではないか。覚えておくべき相手と、忘れるべき相手、それがタイトルの「(NOT)」に表れているのかも知れない。凄まじい怒りを晒してこそ、固い信頼が照らし出される作品でもある。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ (NOT) Remember you 歌詞 - 歌ネット

 

 

Dreamed a Dream

9thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

23rd Monster

12thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

Summer Again

14thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

ray of truth

作曲・編曲:中野雄太

 

インストゥルメンタル。出だしは『Kaleidoscope』や『LABYRINTH』に似た雰囲気で、静謐で繊細だが、デジタルサウンドとオーケストラサウンドを混ぜ合わせながら、徐々に何かを照らし出すように壮大になっていく。

 

 

Remember you

作曲:湯汲哲也

編曲:中野雄太

 

新型コロナウィルス流行下は、平時とは生活様式ががらりと変わった。不要不急の外出や、対面での人との交流を避ける。出掛ける時は夏でもマスクをして、こまめな手洗いとアルコール消毒を心掛け、人とは密にならぬよう距離を取り……。先行するデジタル・ダウンロードシングルの歌詞で、その日々の影響が見て取れる事は既に述べてきた通りだが、アルバムタイトル曲でもあるこの『Remember you』は、最もコロナ禍が表現された作品かも知れない。作曲は湯汲哲也さん。『Secret』や『Out of control』のような、じわりと切なさを滲ませる曲調のバラードである。

「裏切りに効くワクチンは どこへ行けば打ってもらえるんだろう」「あいつは一体何に感染して 人生を捨ててしまったの」とは、『(NOT)Remember you』で描かれた裏切りの事だろうか。そうであるなら、タイトルから見て、この2曲は呼応していると見た方が良いだろう。『(NOT)Remember you』で怒りを伴う決別によって今ある絆の幸福を描いたのに対し、『Remember you』は今繋がっている人を想いながら途切れ行く縁に哀切を抱く歌と言える。

「適度な距離のアクリル板」も、飲食店などでよく見かけた飛沫対策だった。「人間が持つ繊細なニュアンス 打ち消されるのは気のせいかな」と、あゆの感性は鋭く捉える。人との交流を制限した為に、飲食業や観光業など大打撃を受けた業種もあり、「毎日通ったあの店もなくなり」という歌詞が生々しい。なかなか人に会えない状況で、しがらみや足枷になる人間関係を清算出来た人もいただろうが、あゆが描くのはやはりと言うべきか、どうにもならず疎遠になっていく寂しさだ。「慣れた環境も友達も変わって」「ひとりが楽になるばかり」「登録されてる連絡先 使わなくなった名前消してく」と、やるせない程の虚しさと孤独感が滲み出る。様変わりした日常の直中にある心境を表す「思い出が宙で迷子になっている」という歌詞も大きな共感を呼ぶだろう。「あの頃はなんて昔話 出来る貴方だけは消えないでいて」という切なる想いが、どうか壊れない事を願うばかりだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Remember you 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

※『MASK』の記事に加筆しました。

 

 

2026年、あけましておめでとうございます🎍

あゆのカウントダウンライブに参戦した皆さん、お疲れ様でした。余韻に浸りつつ、新しい年に向かって歩き始めた事と思います。

日本を飛び出して活躍するあゆは、やはり平坦ではない道程を歩みました。その突き進む姿にはいつも勇気をもらいます。

願わくは新しい1年が、あゆにとって良いものになりますように!!

15thデジタル・ダウンロードシングル『MASK』

MASK

作曲・編曲:小室哲哉

 

新型コロナウィルス流行下においては、夏でもマスクの着用が推奨された。楽曲タイトルからその日々が思い起こされるが、しかしここで描かれているのは素顔を分かりにくくさせる「仮面」としてのマスクだろう。もっとも、マスク着用などのコロナ対策に慣れるにつれ、人と関わる事が億劫になる、素顔を晒す事が怖くなる、という現象も起きたので、「仮面」という意味合いも強ち無関係ではないかも知れない。シンセサウンドの楽曲は小室哲哉さんの提供で、小室さんの楽曲は直近では『Dreamed a Dream』があるが、編曲まで手掛けるのは『crossroad』以来となる。

「疲れ果てた顔」の自分を窓ガラスに見て「今日の終わりに大きなため息」という出だしは、『reminds me』のような疲労感と虚無感に満ちている。「ホントを口にする価値も見失って 誰かの冷めた瞳を見ても驚かない」など熱の引いた歌詞が並び、この作品はずっとどうしようもない虚しさが漂い続けるのだ。

「痛み乗り越えた フリをしてただ傷跡を新しい傷で塞」ぐという、痛々しい表現もある。あゆ作品に登場する「痛み」や「傷」は生々しく、「消えないものであるが故に共に生きていく」という前提が感じられるが、傷を傷で塞ぐというこの描写には胸を強く締め付けられるものがある。傷の上から付ける新たな傷とは、何と苦しく辛い「仮面」なのだろうか。

「出来なくなった事ばかり並べて理由つけて」というのは、あゆが長年のキャリアの中で経てきた取捨選択とも、コロナ流行のように状況に強いられるものとも取れる。「泣きながらでも伝えた伝わるまで叫んでた」という懸命さが、今は出来なくなってしまっているらしい。唯一、「あの人を想いまた立ち上がる」という部分だけは前向きにも思えるが、終盤の穏やかなメロディーに乗せてさえ「優しい歌だけが聴きたくなってる そうしてまた傷を傷で隠すの」と歌われ締め括られる。「あの人」の言う「進む意味」を、主人公が見つけられる事を願いたい。

PVでは白い衣装のあゆが、カラフルな光の演出や咲き乱れる花など、美しい光景の中で歌う。見た目には華やかなのに、終始浮かない顔で涙すら流すあゆの姿は不穏だ。口元に「マスク」のごとく当てていた両手を、上にずらして目隠しのようにするのも意味深である。一方、ジャケット写真のあゆは顔が見えており、素肌の上から黒いジャケットを羽織るという正反対な姿である。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Mask 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

※『Summer Again』の記事に加筆をしました。

 

メリークリスマス🎄……と言っても、もう終わりかけていますが💦

今年の記事はこれで最後になります。

皆さんにとってどんな1年だったでしょうか?私はいきなり最初の3か月に1つも記事が投稿出来ないというところから始まったので、後々少し頑張りました。

だんだんとリリース分最後に近付いています。最新曲の記事を書いた後、あゆがまた次の作品を発表するまでに何をするかは、一応考えてはいますが、まずはつつがなく投稿を続けられるよう心掛けたいです。

みなさんに、あゆに、良いお年を!

14thデジタル・ダウンロードシングル『Summer Again』

Summer Again

作曲:加藤肇

編曲:tasuku

 

世界中の人々の生活を不自由にさせた新型コロナウィルス。呼吸器の病気のイメージがない夏でさえ外出は憚られ、海水浴場は開かれず、夏祭りも中止に。しかし対策が確立されるにつれ、少しずつ制限は解除されていった。気温と共に心の熱も上昇させ、みんなで盛り上がる夏をまた味わいたい……そんな人々の想いをすくい上げるかのようにリリースされたのが、この『Summer Again』である。夏を何度も歌い上げてきたあゆの歌だけに、一段と想いの強さを感じるだろう。

夏歌としては、ジャケット写真のクレオパトラのような姿から『INSPIRE』を、金色に輝く衣装から『fairyland』を連想するが、曲調はどちらとも違うEDM調だ。EDM調なら『You & Me』や『Summer Love』があるが、これらの爽快感とも違う妖しげなメロディーは何となく『ourselves』のようでもあるかも知れない。

「正直もうNOはこっちがNO」「自由を返して」「これ以上なんてない」……いつも通りの夏を待ち望んでいた人々が大いに頷くフレーズが用意されている。また、「恋に恋し直すみたいに」「見惚れさせていて」というチャーミングで胸をときめかせる歌詞から、あゆの夏への愛も感じられるかも知れない。Aメロ、Bメロの密やかで妖艶な雰囲気から、サビの「Summer Again」で一気に解放感に転じるところに、長く耐えてきた分の一入の喜びが伝わってくる。

「Boy」と「Girl」への呼び掛けは『Boys & Girls』のようでもあるだろうか。これまであゆが歌ってきたのと同じくらい……いや、それ以上の熱がこの歌に込められているように思える。「Clap your hands(手を叩いて)」「don’t be shy(恥ずかしがらないで)」「like a sunshine(太陽の輝きのように)」……聞き手の本音を引き出すように煽る言葉も全ては願いの証だ。過ぎてしまった時間は戻らないが、だからこそ「取り戻す」かのように求めた夏は一層輝きを増しただろう。

PVは鍾乳洞や砂浜が映され、戦士のような黄金の衣装のあゆとダンサーが踊る。海の青の美しさは『BLUE BIRD』を思い起こさせ、海岸でのダンスパフォーマンスはやはり『INSPIRE』や『fairyland』と似たシチュエーションだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Summer Again 歌詞 - 歌ネット

13thデジタル・ダウンロードシングル『Nonfiction』

Nonfiction

作曲:小山寿

編曲:tasuku

 

新型コロナウィルスの流行は、直接の対面での交流を制限する一方、リモートワークの推進や配信でのイベント開催など、文明の恩恵も実感させた。しかし、そうした通信システムの高度な発達故に不確かな情報や「フェイクニュース」もすさまじいスピードで広まり、はたまた真実がフェイクと決めつけられる事もままある。あゆは『everywhere nowhere』で既に文明の負の側面に警鐘を鳴らし、『talkin’ 2 myself』で溢れている情報に振り回されない姿勢を見せてきた。見た目で単純に判断しない事、という括りの作品では『appears』なども挙げられるかも知れない。「We gotta be careful what’s fiction(何が作り事か、気を付けなくては)」。三連符のリズムのEDMに乗せ、クールに、シャープに畳み掛ける。

「成功が人生のゴールですか?」「人の幸せが嫉ましいですか?」。次々繰り出される歌詞はなかなか耳に痛い。しかもその後に続くのは、「その成功って何ですか?」「見えてるのは全てでしょうか?」という、更に突っ込んだ問いだ。例えばSNSで個人の発信も増えた現代、他人の華やかさに気を取られがちだが、それは承認欲求ゆえに “盛った”投稿かも知れない。「成功」や「幸せ」の何たるかをろくに考えず、「その他大勢」として流れに身を任せ、何となく「画面上だけで決めて」いるようでは、真実が見つけられるわけもない。これが、華やかな面を魅せる事が仕事とも言えるスターの言葉なだけに、余計に深々と胸に刺さるのである。「what you don’t believe(あなたが信じないものは?)」「what I do believe(私が信じるものは?)」という対比も効果的だ。

また、これまで孤独を数多く歌ってきたあゆが、対面が叶わない環境で改めて語る孤独も興味深い。孤独な代わりに「自由も無限」である事を味わっていたはずが、外から強いられる「制限」によって「なんにしろ孤独は消えない」と突き付けられる。

そして『23rd Monster』の「クソ喰らえ」と同じく、今作にも「shit」という粗野な歌詞が登場する。「You’re full of shit」で「デタラメ言ってんじゃねえよ」といった意味になるが、バッサリと斬る過激な言い回しは、「生きるのは誰だってしんどい」という実感の中で、それでも流されずに「ノンフィクション」を見極める生き様の表れだろう。

ジャケット写真はこちらに視線を投げかけるあゆ。PVでは、黒い衣装で夜のパーティーに興じるあゆと、ヴィヴィッドなピンクの空間と衣装でダンサーと共に踊るあゆを交互に見せる。パーティーのあゆが時折、心から楽しんでいないかのように見えるのは私だけだろうか。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Nonfiction 歌詞 - 歌ネット