黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

32ndシングル『Moments』

Moments

作曲:湯汲哲也

編曲:HIKARI

 

ロックを強く出しつつもきらめくような音が織り交ぜられた、綺麗で切ないメロディーラインが胸を打つ楽曲。「ラララ」と歌われる部分も、耳に心にすっと入ってくるだろう。シングルだけ見れば3作バラードが続いたが、もちろん個性は全て違うのだ。

「君」が絶望の淵に立たされている。「心が焦げ付いて 焼ける匂いがした」「砕け散った夢の破片」という歌詞から、その絶望の深さは計り知れない。傷付いた「君」の心は「触れるのを恐れ」、トゲだらけになってしまった。そんな「君」を見て「僕」は思う。例えば花のように、君の元で咲き誇ろう。君の笑顔を見届けて、ひとり散って行く、そんなはかない花のように……。

「僕」の「君」に対する想いは、自然の美しさを表す「花鳥風月」を織り込みながらサビで描かれる。見返りを求めず、「僕は何にでもなろう」とまで言う主人公の姿は痛々しいほどだが、雅やかな題材選び、「~でしょう」という優しい口調が絶妙で、悲しさと美しさを見事に両立させている。

あゆ作品においては、主人公自身(“あゆ自身”とは限らないかもしれない)の感じた絶望や孤独感、悲しみや切なさが多く描かれてきた。一方で、誰かに対する真剣な想いを綴った作品もあった。今作は絶望しているのは「君」で、「僕」は「君」のために何でもする覚悟をしているという構図であり、相手の笑顔を見るや散ってしまう花、自らの羽を差し出してしまう鳥と、想いを捧げるのに伴う犠牲がかなり際立っている。聞き手はその痛ましさを感じながらも、選ばれた言葉や曲調が全体に与える美しさに包まれ、何とも言えない感動を覚えることだろう。

シングルでは初めてDVD付盤をリリースした。収録されたPVは、あゆが薄暗い屋敷の中を彷徨い、部屋の中を覗き込むというストーリー。美しいようで狂気を孕んでいそうな、不思議な空間が現れる。ジャケットは薄いグリーンのドレス姿のあゆ。PVで着ていたドレスと似ているが、少し違うようだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Moments 歌詞 - 歌ネット

 

 

今日は東日本大震災から8年の日です。

あの想像を絶する大災害のすぐ後に、あゆがテレビで力強く歌っていたのを観た方も多いでしょう。

そのことはおいおい記事で……。

どんな日も心に響く音楽と共に。