EDM調を中心にまとめられたアルバム。
言うまでもなく、あゆ作品にはたくさんのデジタルサウンドの楽曲がある。キャリア初期に人気を押し上げた楽曲や、『Love songs』の頃に小室哲哉さんの提供で発表したシンセポップ、『NEXT LEVEL』の骨格となったエレクトロニック・ロック。EDMも『Party Queen』で既に姿を現している。しかし今回は、EDMがアルバム全体のカラーを作っているのが大きな特徴だ。また、そのEDMは海外アーティストからの提供も多く、歌詞も英語が軽やかにリズムを刻んでいるものが耳に残りやすい。かつて強烈なインパクトを与えた『miss(understood)』のように、あゆの新たな一面が見られるアルバムであろう。
Blu-ray付属盤、DVD付属盤、CDのみ盤、ファンクラブ限定盤2種の計5形態。Blu-ray及びDVDには、5曲分のPVとメイキング、インタビュー映像を収録。ジャケットは頭に手を添えるあゆのバストアップで、それぞれ目線が違う。白い背景と青紫色の文字のコントラストと、大文字と小文字の入り混じり具合が特徴的。歌詞カードでは、メタリックで奇抜なファッションのあゆが見られる。
〔『Colours』の記事 【前編】 【後編】〕
Feel the love
51stシングル。当該記事を参照。
Blu-ray及びDVDには、シングルとは違う「“ayupan × Bloody Bunny” ver.」というPVが収録されている。あゆのキャラクターであるayupanが、タイの人気アニメ「Bloody Bunny」とコラボレーションした作品で、アニメーションのPVは『I am...』収録の『Connected』以来。宇宙を股にかけたあゆの活躍が描かれる。
XOXO
作曲:Ameerah A. Roelants、Yohanne Simon、John Mamann、Rush Aziz、AJ Junior
編曲:De Paris and Rush (RedOne Production)
タイトルは「ハグとキス」を表すスラングで、親しい者同士で使う挨拶のようなもの。ひと時の楽しみを謳歌する女の子達の様子が、EDMで軽やかに語られる。
繰り返されるのは「Girls just wanna have fun(女の子はただ楽しみたいのよ)」という印象的な歌詞。シンディー・ローパーの代表曲などでも歌われているこのフレーズは、誰にも左右されず、何にも縛られず自分を解放することを称賛する事で、女性を勇気づけ、ワクワクさせるものだ。
では女の子達は、何故楽しみを追い求めるのか。あゆのこの作品の中では、多くは明かされないが、気になるフレーズはいくつかある。「難しい事はちょっとどっかに置いといて でも本当はどこにも置けないのも知ってる」「Tomorrow so what? I don’t want to think(明日がどうしたって?考えたくもないわ)」と、何かから目を逸らしているかのような言葉。極めつけはサビ後半の「朝がくる頃にはリアルを受け止めなきゃね」。女の子達の様子が楽しそうであればあるほど、「受け止めなきゃならないリアル」の重さが浮き彫りになるのである。しかしそれは裏を返せば、リアルを受け止めるためにこそ、思い切り楽しむことが必要ということかも知れない。逃げ続けられないことが分かっているから、今は逃げている。それが「Dance forever(踊り続けよう)」と言いつつ「That’s all we need NOW(私達に“今”必要な全てよ)」と「今」を強調する歌詞にも表れているのだろう。期限付きの楽しみを、その時は永遠であるかのように楽しみ切る。それは『Party Queen』の冒頭EDM3曲で描かれた心境にも似ている。
PVでは、あゆが自撮りをしながら外に出て友達と合流、やがてクラブに入っていく。歌の通り、踊り狂う女の子達の楽しそうな様子が描かれている。
歌詞リンク:浜崎あゆみ XOXO 歌詞 - 歌ネット
What is forever love
作曲:DAISHI DANCE、守屋友晴
編曲:DAISHI DANCE
フィーチャリング:浦田直也
『Dream ON』や『ANother song』で共演してきた浦田直也さんをフィーチャリングに迎えた1曲。テンポは遅くはなく、ラストのサビでは転調もあるが、あくまで抑制的なサウンドと切ないメロディーが、前曲までで高ぶった気持ちを落ち着かせてゆく。イントロや間奏であゆが英語で囁いているのが印象に残る。
「選んだ頃は信じてた自分なのにね 選ばなかった方ばかりを考えている」と、ままならない現在を綴る言葉から歌は始まっている。「君」との別れは、主人公が確かに選び取った道だったらしい。それでも選ばなかった方を考えずにはいられないのは、「君」のいない方を歩んだ事で幸福を掴んだ実感がないからなのかも知れない。「今頃笑えていたかな」「未来は違ってたのかな」と、呟くような口調で虚しい想定が並んでいる。実際に他の面でもそこまで上手くいっていないのか、あるいは特に文句のない生活だけれど、「君」のいない事実が案外大きな割合を占めてしまったのか。「君はいつでもこの胸の1番大事な場所に居続けるんだろう」という部分など、そこかしこで「君」の存在の大きさは決して変わらない事が示されている。
たびたび言及してきたように、あゆ作品では「永遠」を信じない。しかしもし永遠に近いものを挙げるとしたら、人生の最後まで続いたものだろうか。主人公は「最後だと思える愛」に「僕たち」が出逢えるか考える。「僕たち」といいつつ、2人が交わることはもうなさそうなのが辛いところだ。「時間だけが全てを優しくする」感覚を抱きながら、「僕」に出来るのは「いつの日かお互いに幸せ見つけたよって報告出来るといいな」と願うことだけ。この楽曲も冒頭の歌詞を繰り返して終わる構成になっている。
歌詞リンク:浜崎あゆみ What is forever love 歌詞 - 歌ネット
Hello new me
5thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。
Pray
4thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。
メリークリスマス🎄🎅
2023年も過ぎ去ろうとしています。
記念すべき25周年が幕を開けたこの年、あゆは大忙しでしたね。来年4月8日まで満足いく形で駆け抜け、26年目を迎えられる事を祈っています。
そして私は、相変わらずの更新頻度ですが……やはり来年はもっとマシな年にしたいなと……。2年前から1年ごとの記事数が減っていて、自分に唖然としました💦
取り敢えず来年一発目は『Colours』の後編になりますので、楽しみにしていて下さい。