黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

リミックス・アルバム『LOVE CLASSICS』

タイトルの「A」はロゴ表記。クラシカル・アレンジのアルバムとしては『A Classical』以来ということになるが、今作はこれまでのものとは一味違う。あゆの楽曲に、クラシックの名曲の旋律がマッシュアップされているのだ。

あゆ作品とクラシックのメロディーの組み合わせは、意外性がありつつも、不思議と溶け合って良い雰囲気を醸し出している。また、必ずしも壮大なオーケストラサウンドというわけではなく、どちらかと言えば親しみやすさや可愛らしさを感じるアレンジが多い。あゆ作品と、クラシックの楽曲、双方に新しい魅力を発見出来るだろう。

ジャケットは『Zutto... / Last minute / Walk』のジャケットをイラストにしたもの。全体は白黒だがピンク色の花も描き足されている。

なお今回の記事では、あゆの楽曲のタイトルの次に、クラシックのタイトルも表記した。

 

Voyage

パッヘルベル:カノン

編曲:信澤宣明

 

人を感動させるコード進行と言われる『カノン』。そのコード進行を生かしながら、『Voyage』のメロディーが重ねられた。愛する人との人生を描く『Voyage』と組み合わせた事で、また新たな感動を味わえる。二人の旅路に待つ幸福な未来が見えるかのよう。

 

 

SEASONS

ドヴォルザーク交響曲第9番新世界より」第2楽章

編曲:吉川慶

 

ドヴォルザークの『新世界より』の第2楽章は、『家路』という歌になっている事でも有名で、懐かしさを感じさせる楽曲である。『SEASONS』とのアレンジは、軽やかに跳ねる音が可愛らしく、希望に満ちた明日を夢見るようなポップなイメージだ。

 

 

Days

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」“冬”第2楽章

編曲:福島祐子

 

季節ごとの情景が思い浮かぶ、ヴィヴァルディの『四季』。今回採用されたのは『冬』の第2楽章で、厳しい寒さに震えるような第1楽章からがらりと変わり、暖かな部屋で過ごすイメージの楽曲である。元はヴァイオリン協奏曲だが、金管木管でもモチーフが奏でられ、冬歌としてリリースされた『Days』に更なる優しさと温かさを加えている。

 

 

TO BE

バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1曲 プレリュード

編曲:堤博明

 

さざ波のような繰り返しが特徴の『プレリュード』。『TO BE』は転調の多い曲だが、『プレリュード』のメロディーも様々に調を変え、メジャーにもマイナーにもなってそっと『TO BE』に寄り添う。最後のサビやアウトロでは『TO BE』の伴奏のメロディーも重ねられる。

 

 

YOU

ペツォールト:メヌエット

編曲:Clark Bishop

 

ペツォールトの『メヌエット』は、耳にする機会は多いが、長らくJ.S.バッハの作品と考えられていた経緯がある。元は3拍子の『メヌエット』が4拍子に置き換えられ、『YOU』の優しい雰囲気をゆったりと彩っている。

 

 

Virgin Road

ショパン24の前奏曲作品28 第15番 変ニ短調「雨だれ」

編曲:信澤宣明

 

滴り落ちる雨粒のような旋律が特徴の『雨だれ』は、穏やかな中にも繊細な陰影が見え隠れする。『Virgin Road』で描かれる、大切な人と歩んでいくという決意が、静かに、しかし確かに降り注ぐようなアレンジとなっている。

 

 

Dearest

ドヴォルザーク:8つのユーモレスク 第7番

編曲:堤博明

 

ユーモレスク』は愉快な雰囲気の楽曲だが、中盤にシリアスな展開がある。『Dearest』とのマッシュアップでは、このシリアスな部分が一番多く使われている。それでいて愉快な旋律もすっと入ってくる場面があり、その意外さも楽しい。

 

 

HONEY

ヘンデル:オラトリオ「メサイア

編曲:信澤宣明

 

メサイア』の中でも特に有名な、「ハレルヤ」のコーラスのメロディーがふんだんに使われている。『HONEY』は大切な人に「いつだって側にいて」と願う可憐な歌だが、「ハレルヤ」のメロディーが聞こえる事により、その愛を神に祝福されているかのようだ。EDMのリズムも取り入れられており、高揚感がある。

HONEY』と次の『winding road』の2曲は『MY STORY』のアルバム曲であり、『MY STORY Classical』でもクラシカルアレンジされている。また、ここからの3曲は全てアルバム曲である。

 

 

winding road

ドビュッシー前奏曲第1巻 第8曲「亜麻色の髪の乙女

編曲:信澤宣明

 

歩いて来た道とこれから行く道を悠々と歌い上げる『winding road』が、『亜麻色の髪の乙女』によってロマンティックにほんのりと色付いている。『亜麻色の髪の乙女』には何処か儚げな雰囲気も漂うが、そんな乙女も胸に一つの決意を秘めているのだろう。

 

 

Who...

エルガー:愛の挨拶

編曲:信澤宣明

 

甘美なメロディーで、タイトル通り愛に満ち溢れた『愛の挨拶』。原曲では少し切なさも覗く『Who...』が、『愛の挨拶』とのアレンジで幸福感のあるイメージに変わっている。『Who...』はライブの最後でよく歌われるが、あゆからファンへの「愛の挨拶」ということだろうか。