黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

15thアルバム『Colours』(前編)

EDM調を中心にまとめられたアルバム。

言うまでもなく、あゆ作品にはたくさんのデジタルサウンドの楽曲がある。キャリア初期に人気を押し上げた楽曲や、『Love songs』の頃に小室哲哉さんの提供で発表したシンセポップ、『NEXT LEVEL』の骨格となったエレクトロニック・ロック。EDMも『Party Queen』で既に姿を現している。しかし今回は、EDMがアルバム全体のカラーを作っているのが大きな特徴だ。また、そのEDMは海外アーティストからの提供も多く、歌詞も英語が軽やかにリズムを刻んでいるものが耳に残りやすい。かつて強烈なインパクトを与えた『miss(understood)』のように、あゆの新たな一面が見られるアルバムであろう。

Blu-ray付属盤、DVD付属盤、CDのみ盤、ファンクラブ限定盤2種の計5形態。Blu-ray及びDVDには、5曲分のPVとメイキング、インタビュー映像を収録。ジャケットは頭に手を添えるあゆのバストアップで、それぞれ目線が違う。白い背景と青紫色の文字のコントラストと、大文字と小文字の入り混じり具合が特徴的。歌詞カードでは、メタリックで奇抜なファッションのあゆが見られる。

 

 

〔『Colours』の記事 【前編】  【後編】

 

Feel the love

 

51stシングル。当該記事を参照。

Blu-ray及びDVDには、シングルとは違う「“ayupan × Bloody Bunny” ver.」というPVが収録されている。あゆのキャラクターであるayupanが、タイの人気アニメ「Bloody Bunny」とコラボレーションした作品で、アニメーションのPVは『I am...』収録の『Connected』以来。宇宙を股にかけたあゆの活躍が描かれる。

 

 

XOXO

作曲:Ameerah A. Roelants、Yohanne Simon、John Mamann、Rush Aziz、AJ Junior

編曲:De Paris and Rush (RedOne Production)

 

タイトルは「ハグとキス」を表すスラングで、親しい者同士で使う挨拶のようなもの。ひと時の楽しみを謳歌する女の子達の様子が、EDMで軽やかに語られる。

繰り返されるのは「Girls just wanna have fun(女の子はただ楽しみたいのよ)」という印象的な歌詞。シンディー・ローパーの代表曲などでも歌われているこのフレーズは、誰にも左右されず、何にも縛られず自分を解放することを称賛する事で、女性を勇気づけ、ワクワクさせるものだ。

では女の子達は、何故楽しみを追い求めるのか。あゆのこの作品の中では、多くは明かされないが、気になるフレーズはいくつかある。「難しい事はちょっとどっかに置いといて でも本当はどこにも置けないのも知ってる」「Tomorrow so what? I don’t want to think(明日がどうしたって?考えたくもないわ)」と、何かから目を逸らしているかのような言葉。極めつけはサビ後半の「朝がくる頃にはリアルを受け止めなきゃね」。女の子達の様子が楽しそうであればあるほど、「受け止めなきゃならないリアル」の重さが浮き彫りになるのである。しかしそれは裏を返せば、リアルを受け止めるためにこそ、思い切り楽しむことが必要ということかも知れない。逃げ続けられないことが分かっているから、今は逃げている。それが「Dance forever(踊り続けよう)」と言いつつ「That’s all we need NOW(私達に“今”必要な全てよ)」と「今」を強調する歌詞にも表れているのだろう。期限付きの楽しみを、その時は永遠であるかのように楽しみ切る。それは『Party Queen』の冒頭EDM3曲で描かれた心境にも似ている。

PVでは、あゆが自撮りをしながら外に出て友達と合流、やがてクラブに入っていく。歌の通り、踊り狂う女の子達の楽しそうな様子が描かれている。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ XOXO 歌詞 - 歌ネット

 

 

What is forever love

作曲:DAISHI DANCE、守屋友晴

編曲:DAISHI DANCE

フィーチャリング:浦田直也

 

Dream ON』や『ANother song』で共演してきた浦田直也さんをフィーチャリングに迎えた1曲。テンポは遅くはなく、ラストのサビでは転調もあるが、あくまで抑制的なサウンドと切ないメロディーが、前曲までで高ぶった気持ちを落ち着かせてゆく。イントロや間奏であゆが英語で囁いているのが印象に残る。

「選んだ頃は信じてた自分なのにね 選ばなかった方ばかりを考えている」と、ままならない現在を綴る言葉から歌は始まっている。「君」との別れは、主人公が確かに選び取った道だったらしい。それでも選ばなかった方を考えずにはいられないのは、「君」のいない方を歩んだ事で幸福を掴んだ実感がないからなのかも知れない。「今頃笑えていたかな」「未来は違ってたのかな」と、呟くような口調で虚しい想定が並んでいる。実際に他の面でもそこまで上手くいっていないのか、あるいは特に文句のない生活だけれど、「君」のいない事実が案外大きな割合を占めてしまったのか。「君はいつでもこの胸の1番大事な場所に居続けるんだろう」という部分など、そこかしこで「君」の存在の大きさは決して変わらない事が示されている。

たびたび言及してきたように、あゆ作品では「永遠」を信じない。しかしもし永遠に近いものを挙げるとしたら、人生の最後まで続いたものだろうか。主人公は「最後だと思える愛」に「僕たち」が出逢えるか考える。「僕たち」といいつつ、2人が交わることはもうなさそうなのが辛いところだ。「時間だけが全てを優しくする」感覚を抱きながら、「僕」に出来るのは「いつの日かお互いに幸せ見つけたよって報告出来るといいな」と願うことだけ。この楽曲も冒頭の歌詞を繰り返して終わる構成になっている。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ What is forever love 歌詞 - 歌ネット

 

 

Hello new me

5thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

Pray

4thデジタル・ダウンロードシングル。当該記事を参照。

 

 

 

 

メリークリスマス🎄🎅

2023年も過ぎ去ろうとしています。

記念すべき25周年が幕を開けたこの年、あゆは大忙しでしたね。来年4月8日まで満足いく形で駆け抜け、26年目を迎えられる事を祈っています。

そして私は、相変わらずの更新頻度ですが……やはり来年はもっとマシな年にしたいなと……。2年前から1年ごとの記事数が減っていて、自分に唖然としました💦

取り敢えず来年一発目は『Colours』の後編になりますので、楽しみにしていて下さい。

5thデジタル・ダウンロードシングル『Hello new me』

Hello new me

作曲:多胡邦夫

編曲:中野雄太

 

きらめく日差しのような、心温まるバラード。「新しい私」への期待がやわらかく丁寧に歌われる。ジャケットは黒いドレスで振り返るあゆのバストアップ。

主人公の「私」がいかにして新しい自分を見つけたのか。それは「君」との関係の中である。「なんてことない出来事 なのに突然笑いが止まらなくなったり」「モノクロだった景色が 一気にカラフルに色付いていくようで」という歌詞からは、「君」が当たり前のように溶け込んでいる何気ない日常こそ、「私」が何より大切にしているものだと伝わってくる。普通の日常こそかけがえのないものとたびたびあゆが綴ってきたことから、「君」と2人でいられる「普通」もまた、いかに素晴らしいものであるかが分かるだろう。「たったひとりに 出逢えた奇跡」を実感し、「大事に2人で 育てて行きたい」という気持ちになっていく。1番の「I love it」が2番では「We love it」と変わるのも憎い。

そうした日々の中で生まれる「新しい私」。この「新しい」とは天地がひっくり返るような劇的なものではなくて、なんてことない出来事で笑えること、景色が色付くこと、そんな今まで気付かなかった日常の素晴らしさに気付くことなのだろう。「君」と新しい毎日を創れる幸せは、あゆの幸福に満ちた、何処かかわいらしいヴォーカルからも伝わってくる。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Hello new me 歌詞 - 歌ネット

 

 

毎度ギリギリの滑り込みですが、浜崎あゆみさん、お誕生日おめでとうございます🎊🎉

あゆの素晴らしい作品に出会えるのは、あゆがこの世にいたからこそ。

アニバーサリーイヤーということでお忙しいと思いますが、健康第一に頑張って下さい💖🎶

 

 

4thデジタル・ダウンロードシングル『Pray』

Pray

作曲:多胡邦夫

編曲:中野雄太

 

出だしのピアノからドラマを予感させ、やがて壮大に広がってゆくバラード。そこに描かれた愛を、我々はどれだけ受け止められるだろうか。ジャケットは後ろから金色の光に照らされたあゆの顔のアップ。

「逢いたいのは 今でも 君のこと愛してるから でももう二度と逢えないのは 誰よりも愛しているから」。始まりの歌詞からして、込められた想いは計り知れない。逢いたいのも逢えないのも、「愛している」ことが理由だと歌う「僕」。あゆの書くラブソングに、いわゆる恋愛の範疇に留まらないものが多い事は何度も言及してきたが、これも正にその一つ。破局してしまったとか、でもまだ未練があるとか、分かりやすい言葉で言えるような心境ではない。「君だけの 君のための幸せに」「もうあとちょっと少しだけ 手を伸ばしてみて」という、愛に満ちた祈りは、その愛ゆえに遠くから捧げられているのだ。

「君」が探しものを見つけたと聞いた「僕」は、「僕らが共に在った日々の事」を一度だけ思い出してほしいと願う。そして、「その後で その後で その心から永遠に 消してしまっていい」とも。「次に生まれ変わった時には 君を迎えに行く」というのは、同じく多胡邦夫さんが作曲した『Together When...』の「いつかまた僕は僕に生まれ変わって 君を探す度に出るんだろう」にも似ているが、今作は「ワガママ」や「勝手な約束すぎるかな」という遠慮が強調されている。現世ではもう決して一緒にいられないけれど、それでも愛は変わらない、来世の約束なんて「君」が望んでいるか分からないけれど、それでも願わずにいられない。様々な思いが深いところで一つになっているのだろう。最後に最初の歌詞を繰り返し、終わりまで想いの強さを印象付ける構成が素晴らしい。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Pray 歌詞 - 歌ネット

51stシングル『Feel the love / Merry-go-round』

EDMの楽曲を採用した両A面シングル。CDとしては『L』以来久し振りのシングルとなった。

DVD付属盤、CDのみ盤、mu-moショップとライブ会場限定のミュージックカード盤でリリース。ジャケットは、DVD付属盤は白いドレスで風に吹かれているあゆ。CDのみ盤はほぼ顔のアップ。ミュージックカードは、DVD付属盤とは違うポーズの白いドレス姿と、イラストを使用したもの2種類の計3種類。DVDには2曲のPVを収録。

 

Feel the love

作曲:小室哲哉

編曲:DJ Hello Kitty

 

軽快なサウンドとリズムで、聞く者の心をこれでもかと上向きにするEDM。DJ Hello Kittyとのコラボレーションも初めて実現した。

歌われるメッセージは至ってシンプル。「Feel the love(愛を感じて)」、それだけだ。何があるかは分からない曲がり角、「胸を痛める事やくじけそうな事」も時にはあると覚悟している。しかし主人公の「私」は「大きく笑うんだって決めたんだ」と決めた。それを踏まえれば、「どうして今が1番じゃいけない?」がただの能天気や無鉄砲ではない事が分かるだろう。『Greatful days』の「哀しみの為に楽しむ事 置き去りにしないでいて」、『glitter』の「今をただ 大事にして」など、「今」に重きを置くあゆ作品は多いが、過去は忘れようとか、未来はどうでもいいとか、そういう意味でないことはいつも作品全体から伝わってくる。

また、「正しい恋愛ってなに 迷走してない人なんている?」という歌詞からは、この明るい曲に潜ませた本音が伺えるような気がする。スターの恋愛があれこれ揶揄されやすいことは言わずもがなだが、それでなくとも、『Return Road』でも「2人の事は 2人にしか解らない」と歌ったように、第三者に本人の見ている真実はなかなか理解できない。迷走だろうと何だろうと、その時はきっと本気で愛を感じていたのだ。結果ダメになってしまっても、きっとこの歌の主人公は次の出会いに向けて「I’ll be searchin’ for my love(愛を探すよ)」と言うだろう。

PVでは、憧れに向かって様々なことに挑戦する女性がひたすら突っ走っていく様子を、時にアニメタッチも交えてコミカルに描く。そうして努力する過程が既に輝きを放つことに気づかされ、また、今やスターのあゆもこうして頑張ってきた一人なのだろうと感慨深くなる。DJ Hello Kittyも登場する。

 

 

浜崎あゆみ Feel the love 歌詞 - 歌ネット

 

 

Merry-go-round

ラップ詞:VERBAL

作曲:m-flo. UNICO. JEB (AMBUSH®)

編曲:Tachytelic aka Taku Takahashi and Mitsunori Ikeda

 

こちらもEDMだが、歌われるのは『Feel the love』とは打って変わって、終わった恋への未練がループし続ける、切ない心情である。ラップパートの作詞及び歌唱は、作曲をしたm-floのメンバーであるVERBALさんが担当している。

「僕」は離れてしまった「君」について、「どこにいて誰と笑ってる?」「何を想ってる?」と、決して今の自分には分からない事を思い描いている。「明日もまた君を描くよ」という歌詞から、まだまだそんな日々が続いていきそうな事が分かる。覚えているのは「君にまたねって手を振ったよ またなんてないって 知ってても」という別れの場面。「振り返らずに進んだよ」とあるが、その勇気をもってしてもなお、「君」への想いを断ち切ることはできないらしい。

「惹かれて行く」こと、「離れて行く」こと、両方とも「あっと言う間の出来事」と表現しているのが印象的だ。どちらもそれくらい自然に、時間を感じないうちに起きたからこそ、前者の「魔法にかけられてしまったみたい」という心地と、後者の「こわい夢でも見てるのかな」という心地の対比が強調される。「~ください」で終わる願い事には、どれほどの切なさが込められているのか。「いつかは」と「今は思い出にはまだしたくない」の間で逡巡する姿こそ、ラップ詞の「結局、忘れられない二人乗るMerry Go Round」なのだろう。

PVでは、都会の喧騒とビルの屋上で歌うあゆの場面を挟みながら、絵を描くあゆと、絵のモデルになっている男性とを交互に見せる。二人のやり取りに思われたものの真実が明かされた時、この歌の歌詞は更に胸に響くだろう。

 

 

浜崎あゆみ Merry-go-round 歌詞 - 歌ネット

限定ダウンロード楽曲『Tell All』

5カ月連続リリースの特典として限定でダウンロード出来る楽曲。2023年現在、オリジナル音源の一般商品化は行われていないが、ライブ音源はライブ・アルバム『ayumi hamasaki 15th Anniversary TOUR 〜A BEST LIVE〜』で聞く事が出来る。また、16thアルバム『A ONE』のファンクラブ限定盤には「2015 mix」が収録されている。

 

 

Tell All

作曲・編曲:中野雄太

 

デジタルサウンドのロックで、サビの畳みかけるようなリズムが特徴。曲調の起伏の激しさ、リズムの力強さなどは、同じく中野雄太さん作曲・編曲の『decision』や『Mirrorcle World』も彷彿とさせる。

闇に潜むような雰囲気で描かれるのは、「君」の状況を慮り、真摯に向き合おうとする「僕」の姿だ。「闇の深さ」、「風の強さ」。「君だけにしか分からないことは きっとたくさんある」と「僕」は理解している。元よりあゆ作品では、どれほど大切な相手でも全て分かり合うことはできないが、だからこそ伝え合おうとすることが大切だと繰り返し歌われてきた。「Tell All(全てを教えて)」というタイトルには、その気持ちが表れているのだろう。触れられない「君」の苦悩を思いやってこそ、2番で「僕」は「君には何の気負いもなく 幸せだよと言って欲しい」と願う。

想いを一気に解放するような曲調と、あゆの叫ぶようなヴォーカルで歌われるサビでは、「後悔してるだけじゃ 過去は許されない」という歌詞がある。そして「過去を許せないなら 現在(いま)さえ微笑んではくれない」と続く。『again』収録の『Ivy』にも通じるような信条だ。また、「何も始まらなきゃ 失う痛みさえもわからない」という歌詞の壮絶さにも驚く。失う痛みさえも必要だとあゆは歌うのだ。「君を愛するため 僕はこの戦いを選んだ」「僕が君の生きる証になってみせるよ」。痛みを知ってこそ、躊躇わずに未来の叫びに向かっていく決意を「僕」は強くしていくのである。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Tell All 歌詞 - 歌ネット

14thアルバム『LOVE again』(後編)

〔『LOVE again』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

 

glasses

作曲・編曲:中野雄太

 

インストゥルメンタル。ひずんだ音で奏でられるサウンドは何処か不安そうな空気をまとう。ストリングスやピアノ、加工されたヴォーカルが時折、曇った視界の中で見つけた一筋の光のように、鋭く響く。

 

 

untitled for her...story 2

作曲・編曲:中野雄太

 

タイトルから、『GUILTY』収録の『untitled ~for her~』の続編である事が分かる。前作と同じく清らかなイメージのストリングスとピアノから始まり、後半にゆっくりと盛り上がる曲調に乗せ、変わらない、いや、募り続ける想いを歌う。

流れたのはちょうど五年の月日。「もう大丈夫 乗り越えた そんな顔をして」きた「私」は、しかし変わらないままの願いを抱えている。「一度だけ もう一度だけ」という繰り返しや、「手を繋いで 歩きながら 些細な事で泣いたり 笑ったり」という前作にもあった描写が、願う強さを印象付ける。

一方、「~です」「~ます」の丁寧語で締める形は、前作とは少し違う点だ。相手の呼び方も「君」から「あなた」になっている。思いが消えないとは言え、悲しみにはひと段落付いたのか。あるいは、より真摯に祈りを捧げる気持ちからか。いずれにせよ、願いを一つずつ噛み締めて積み上げるかのように響く。

「聞いて欲しいストーリー」が増え続けていくのは、「果てなき道のり」を行ってしまったその人から答えを聞けないからだろう。「私」はただ、「あなた」に苦しみがないようにと祈り、いつか逢えたら「嫌がられるくらい 抱きついてみてもいいですか」と願う。この「嫌がられるくらい」が何とも切ない。「私」が「いつかのその日」までに積み重ねるであろう想いは計り知れず、その再会の時を今から思い浮かべてしまいそうになるのだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ untitled for her... story 2 歌詞 - 歌ネット

 

 

Gloria

作曲:星野靖彦

編曲:中野雄太

 

前曲に続き、穏やかかつ壮大なバラード。やわらかな言い回しの歌詞で綴られる内容は、しかしその実生易しいものではなく、さりげない形で人生の厳しさも描きながら、最後には「明日へのエール」につなぐ。

すぐに忘れてしまうこと、欲張りになってしまうこと。歌われるのは「僕ら」のそんな性質だ。例えば『Dearest』の「忘れゆく 生き物だけど」、『no more words』の「生きる程に忘れてく」には哀切が漂っていたが、ここでは曲調や「何だか僕らは すぐに忘れてしまうね」という大らかな言い方のお陰か、悲しい気分にはならない。いい意味で吹っ切れているというか、そういう「僕ら」なのは仕方ないとして、その上でどう生きていくのかという事の方に、よりスポットが当たっているのかも知れない。

「いっぱいの愛」だけではない、「ここにある現実」も共に「ぎゅっと抱きしめ」る。「飛び出した感情だとか 尖ったままの言葉」があっても、見たもの、触れたものを信じる事はやめず、「選んで決めて背負って」いく覚悟もある。“前向き”と簡単な一言では表せない心境だろう。次の『Ivy』も人生を広く遠く見渡す視点のある曲だが、『Ivy』が変えられない過去や犯した罪をさらけ出していくシリアスさが強いのに対し、今作はあらゆる事を「栄光」とする肯定的なイメージに満ちている。美しくて見栄えのいいところだけを集めたものが「栄光」なのではない。傷や弱さ、どうしようもない現実も含めて生きていく事が「栄光」なのだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Gloria 歌詞 - 歌ネット

 

 

Ivy

 

4thミニアルバム『again』収録曲。当該記事を参照。

 

 

You & Me

 

ベストアルバム『A SUMMER BEST』収録曲。当該記事を参照。

 

 

 

 

浜崎あゆみさん、デビュー25周年おめでとうございます🎶🎤💖

四半世紀もの間、アーティストとして歌を届け続ける事はどれほど大変だったでしょうか。

楽しい話題、スペシャルな話題もあって嬉しいです。

これからも応援しています😊

 

14thアルバム『LOVE again』(中編)

〔『LOVE again』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

 

task’n’bass

作曲・編曲:tasuku

 

恒例のtasukuさんによるインストゥルメンタル。サイレンのように唸るデジタルサウンドが鳴り響き、リズム良く駆け抜けていく。

 

 

Bye-bye darling

 

作曲:星野靖彦

編曲:tasuku

 

出だしからクールなギターのリフが耳を捉えるロックナンバー。どうにもならない苦しみが叫びとなって現れる。

「僕」はだんだんと「君」の記憶が遠ざかっていくのを感じている。「どんどんぼやけちゃって 触れられないよ」「消えちゃいそうだよ」と、頼りない口調で語る。ただでさえもう側にはいない「君」が、記憶まで消えてしまうのはどれほど悲しいだろう。しかし「僕」は、その現状をも受け入れる。「間違いでも良いと選んだのは 他の誰でもない自分だから」という歌詞から、あくまで自分の主体的な判断だった事を噛み締めているようだ。その結果、「帰る場所」も「眠りたい場所」もなくなってしまったとしても、その責任は自分にあるのだ、と……。「まだ帰っては来ないかい」「そこへ迎えに行こうか」という声は、「僕」の中にしかいない「君」の幻影が言っているのかもしれないが、本当に「君」がそう言ってくれたとしても、どのみち「僕はもう戻らないよ」と決めている。「心がいくら助け求めても」「僕の終わりでも」と、その意志は固い。

その覚悟は、しかしきっぱりとした割り切りから来るものでもない。「僕はなぜ手を離したの」という後悔はこれからも付きまとう。それさえも引き受けなければならない事が「僕」の痛みなのだろう。「この地球(ほし)にたったひとつの光」だった「君」を失い、太陽の昇らない世界で、月だけが終わらない夜を照らし続ける、寂寥感も通り越すほどの描写が強い印象を残す。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Bye-bye darling 歌詞 - 歌ネット

 

 

snowy kiss

 

4thミニアルバム『again』収録曲。当該記事を参照。

 

 

 

Sweet scar

 

4thミニアルバム『again』収録曲。当該記事を参照。

 

 

 

petal

作曲:多胡邦夫

編曲:中野雄太

 

3拍子の楽曲は『GUILTY』収録の『Marionette』以来。同じ多胡邦夫さんの楽曲では『SCAR』も3拍子である。物語的で何処か妖しげな雰囲気の曲調に乗せて、「花占い」をモチーフにした歌詞が綴られる。「~ました」「~でしょう」と丁寧語で語る、シンプルだが想像の余地を残したお話は、まるで絵本を読むかのよう。

主人公がある日の帰り道に出会ったのは、「見慣れぬ一輪の花」。自分からすれば「色も形も何も好みではなかった」が、惹かれるものがあった。2番で水を替える描写があるので、摘んで持ち帰ったのだろう。場所を移しても「恐れのかけらも見せずに咲いて」いる花。それに対し、花占いを想像する主人公の、何と頼りないことか。想いを寄せる相手に直接確かめるのではなく、凜と咲く花の強さに「運命委ねてもいいですか」と訊ねているのである。まだ実際に占ってはいないようだが、この様子では出来ないままかも知れない。「最後に残るひとひらが 嫌いな方だったら…」と、この小さな占いすら結果を怖がっているのだから。弱気な主人公に、恐れのない花の花びらをちぎって散らすのは難しいだろう。

自分の弱さと花の強さの対比は『Hana』を思い出させる。花と言えば散る儚さをあゆは度々綴ってきたが、その儚い瞬間を迎えるまでは強く咲き誇っている事も、また教えてくれる。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ petal 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

お読み頂いている皆様、2023年が始まってもうひと月近くですが、これが今年初投稿です。すみません!

しかも、前の記事のタイトルに「(前編)」と付け忘れていたのにも今気付きました。重ね重ねすみません!

今日はあゆの新アルバムが出ましたね。もう聴きましたか?私は……予約注文したのにまだ届きません😢

一刻も早く新作を楽しみたいです。

そして、なるべく早くこのブログで記事にしたいです。