黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

4thアルバム『I am...』(中編)

〔『I am...』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

Naturally

作曲:CREA

編曲:CMJK

 

シンセの色合いが強いロックで、アクティヴな楽曲。描かれているのはあゆ自身のこれまでの歩みだろうか。

ひたすらに目的地を目指していたはずが、何か違和感を覚え、引き返せないとなるや躊躇し、かと言ってすぐには立ち止まれない。そんな「私」にヒントをくれたのは「あなた」の「悲しいのは諦めてしまうコトだ」という言葉。

主人公は「今ならありのまま行けそう」という結論に達する。この「ありのまま」にどれほどの決意と覚悟が込められていることか。言ってみることは簡単だが、大人になればなるほどそれが難しくなるのは誰しも実感するところである。美しいものばかり見てはいられないし、キズつくことも時には避けられない。「楽しいダケ そんな日々はもういらない」とまで言い切っているのだ。並大抵の決意ではないだろう。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Naturally 歌詞 - 歌ネット

 

 

NEVER EVER

21stシングル。当該記事を参照。

 

 

still alone

作曲:CREA

編曲:CMJK

 

構成は『NEVER EVER』に似ていて、可愛らしささえ漂う曲調の部分と、ヘヴィーでハードなサビとで出来ている。

別の道を歩むことになった大切な人を想う歌詞が簡潔に綴られ、聞き手の胸に刺さる。共に歩んでいくのだと当然のごとく思っていた「君」。今は遠く離れてしまって、どこにいるのだろうかと身を案じることしか出来ない。

「その夢守って行くためには 私がいちゃいけなかった」とはあまりにも切ない言葉だ。本当にそう思って身を引いたのか、言い聞かせることで納得しようとしているのか。ひとりになった主人公は、「君」の持つ不安や迷いに、今になって思い当たったようだ。「どうしてそれなのに私は」という、半端に切れる表現には、どうしようもない後悔が滲み出る。

最後は「約束は覚えているの 忘れた日はないの」と終わる。この「約束」は何を指すだろう? 「別れる代わりに必ず夢を叶える」ことか、「夢を叶えたら再会する」ことか。あるいは、別れなど考えもしなかった頃に交わした、もう守りようのない約束なのかもしれない。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ still alone 歌詞 - 歌ネット

 

 

Daybreak

作曲:CREA + D・A・I + 松田純一

編曲:tasuku

 

常に明るく、三連符のリズムで畳みかける、前へ前へとしっかり歩んでいくようなロックナンバー。歌詞の内容も「同志」との連帯を歌う前向きなものだ。前の曲の『still alone』の内容と対比すると、余計にその心強さが沁みる。

1番は「顔を失くしたまま」「生まれて来た事に すがりつき生きてた」と、なかなか衝撃的な歌詞が並ぶ。「顔」とは、例えばアイデンティティーだったり、生きる指針であったり、何か自分を示すものを指すのだろう。それが無いから、生まれてきた事実だけで無為に生きてしまう事になる。

続いて主人公はこう呼び掛ける。「共に立ち上がろう」「君は君を勝ち取るんだ」と。例え離れていても、同じ空の下にいる。夢に向かう気持ちが通じ合っているから忘れないでほしい。孤独を描いているあゆだからこそ、遠くにいてもつながりを感じられる人の存在を確かめ、力にしていくのだ。あゆのこういう呼び掛けは、当然ファンにも向けられているものだろう。『AUDIENCE』ではライブの煽りの一場面とも取れる描写で「一緒に行こう」と呼び掛けていたが、この『Daybreak』は人生を通じた目標に向かっていくイメージがより強い。

この歌の歌詞には、「光と影なんて 同じようなもの」「喜びのうらの悲しみ」「苦しみの果ての希望」「全ては偶然じゃなく必然かも知れない」といった、相反するものを結びつける表現が多く出てくる。正反対に見えるものも本質は同じなのではないか、あるいは、あちらがあるからこそこちらも存在するのではないか、そんなあゆの哲学が見える表現だ。

後に25thシングルとして発売。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Daybreak 歌詞 - 歌ネット

 

 

taskinlude

作曲・編曲:tasuku

 

インストゥルメンタル。異次元から電波を受信しているような不可思議なイメージの出だしから、ドラムが鳴り響くロックサウンドへと展開する。