evolution
作曲:CREA
編曲:HΛL
新年、そして新世紀の幕開けに放った、高揚感と勢いに満ちた作品。いかにも何かが始まるような期待を煽る出だしから、一気に激しいロックに転ずる。ハードロックは『SURREAL』辺りから流れが始まり、CREA名義での初作曲である『M』でもロックを取り入れていたが、この『evolution』で本格化したと見え、以後「ロックなあゆ」という一つのイメージがあゆ自身の手で確立されていく。あゆの表現する世界も「進化」してくのだ。PVは、まさにPVなどの撮影をメタ的に映したとも思える構成。腰に付けていた「しっぽ」も話題になった。
新しい時代を迎え進んでいこうとする時に、泣きながら生まれてきたことを語る歌詞。「進化」を意味するタイトルを掲げながらも、過去を振り返る。初心を忘れずに行こうということだろうか。過ぎてきた美しい季節を思い返す『YOU』、過去に向かう旅を描いた『P.S Ⅱ』、「『それ』は過去にある」と言う『Duty』などなど、過去を振り返って現在までの積み重ねをあゆははっきり確認するようだ。また、何とか今日を送っていくのに判断を誤らぬよう、自分のものさしをきちんと持っておくことも忠告する。
勢いだけで突っ切るのではなく、意外と手厳しいことを歌っているようだが、生まれてきたから「君に出会えたよ」とも歌う。掛け合いになっているこの部分は照れ隠しにも聞こえ、聞き手はニヤリとするだろう。この時代この地球に生まれたことが時に辛くても、「君」に出会えたことを思い出せれば進んでいける。それはファンがあゆに抱いている感情でもあるかもしれない。