ヒョウ柄をあしらっているということで、3rdアルバム『Duty』以来の“ヒョウあゆ”である。ただ、『Duty』が一貫してヒョウそのものに扮したあゆだったのに対し、今回のあゆはジャケットでヒョウ柄のドレスをまとっており、歌詞カードではそれ以外にも多彩な衣装で登場している。CDのみ盤のジャケットは全身、DVD付属盤はバストアップで、長いトゲのついたネイルが目を引く。DVDには、シングル含む5曲分のPV及び『glitter/fated』のショートフィルムとそれぞれのメイキングを収録。CDのみ盤とDVD付属盤のどちらにも、初回限定でフォトブックが付く(内容は同じである)。
全体的な雰囲気は、やはり『Duty』のように色濃い影をまとい、あゆ独特の自省的でダークな作品が並ぶ。「義務」もなかなか厳しい言葉だが、「有罪」は更に重苦しい。一体あゆにどんな罪があったと言うのか? どんな罰が待っていたのか? 許しは与えられるのか? その答えを見届けよう。
Mirror
作曲・編曲:中野雄太
緊迫したリズムを刻むロック。ワンコーラス分の長さの楽曲だが、目まぐるしい展開の数々が心を掴んで離さない。「始まりなのかって? 終焉なのかって?」といった、相反するものを並べる鋭い問いかけの数々は「君」と「僕」に向けられているが、「鏡」というタイトルから察するに、やはりこれも自問自答だろうか。
後に43rdシングル『Mirrorcle World』としてフルコーラス版へと生まれ変わる。
歌詞リンク:浜崎あゆみ Mirror 歌詞 - 歌ネット
(don’t)Leave me alone
作曲:湯汲哲也
編曲:HΛL
『LOVEppears』であったり『(miss)understood』であったりと、二律背反から微細な心情をすくい取るあゆの感性が、この作品でも光っている。「ひとりでいさせて」もしくは「ひとりにしないで」。攻撃的なロックナンバーでありながら、奥底の心情を丁寧に読み取りたくなる。
「いい人ぶりたいんなら 他でやったら?」「哀れんだ眼差しに 吐き気がするわ」と、主人公は「あなた」を手厳しくなじっている。あゆ作品の歌詞で、ここまでキツい言い方で相手を批判しているのも珍しい。だが、ただ責め立てるだけの歌かと思いきや、「受け止めたりしないで だってその手は冷たい」「優しくなんてしないで」というサビ、2番の「笑ってない笑顔が 一番こたえるの」という部分に、主人公の弱みが見え隠れする。表面的には、「あなた」は優しく笑みを湛えているような人物であり、こんなふうに責められるべきではないように見える。「いい人ぶる」どころか、ある意味では本当にいい人なのかもしれない。しかし主人公にとっては、そんな「あなた」の態度こそがつらいものなのである。
最後の一行は、これまでの全てを覆すかのような強烈な印象だが、その実主人公の言いたいことは一貫しているのだ。本当は「あなた」に、自分をひとりにさせない存在であってほしい。だからこそ、ただ優しさを与えられるくらいなら「いっそ罵ってよ」「いっそ突き放して」、そして「ひとりでいさせて」と願ってしまう。散々並べたキツい言葉が、かえって主人公の繊細な本音を浮き彫りにする、その構造が鮮やかだ。
PVでは、迷路のような道をあゆが歩いていくうちに、女性ダンサー達と出会っていく。あゆが締めているネクタイの色に注目してほしい。
歌詞リンク:浜崎あゆみ (don't)Leave me alone 歌詞 - 歌ネット
talkin’ 2 myself
42ndシングル。当該記事を参照。
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