黙ってayuを聞け

浜崎あゆみさんの歌 とりわけ歌詞の魅力を語るブログ

ご無沙汰してます

いつもブログを読んで下さっている皆さん、ご無沙汰しています。あゆりあです。

 

こんなに期間が空いてしまって、もしかしてご心配かけてしまったでしょうか?

大丈夫、私は元気です。

 

何故空いてしまったのか。忙しさのせい、と言うと本当に言い訳になってしまいますが、それに加えて実は……ずっとPCの調子が悪いのです💦

 

携帯電話での投稿というのはちょっと無理で、このPC以外で投稿が可能なデバイスもありません。ですのでやはり、PCを何とかしないといけないという事です。

 

使った年数から言えば買い替えてもいいのかも知れませんが、修理できるならしたい気持ちもあり、しかし修理するとなるとファイルの整理なども必要で……。

調子が悪いと言っても使えない事もないですし、未だに思案中なのです😥

 

 

ひとまず、明日はアルバム『Love songs』の記事を完結させます。それ以降は多少書き溜めてはいますが、どうか気長に見守っていて下さい。

 

 

 

 

12thアルバム『Love songs』(中編)

〔『Love songs』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

 

insomnia

作曲・編曲:小室哲哉

 

インストゥルメンタル。無機質に刻まれるリズムに、時折ピアノが滴り落ちる雫のように鳴り響く。タイトルは「不眠症」という意味。どことなく緊張感のある空気には、あからさまな悪夢とは違う不穏さがある。

 

 

Like a doll

作曲:小室哲哉

編曲:CMJK

 

ピアノと共に、ゆっくりと噛み締めるようなサビから始まる。「少しでもいい 聴かせて」という問い掛けの後、曲はテンポが速くなるが、曲調はあくまで抑制的、シンプルでクールである。それは、歌詞に描かれている「君」の、「心の声を閉ざした」様子と重なる。「Like a doll」というコーラスの繰り返しが淡々と響く。

笑顔は「仮面を貼り付けて」演出し、涙はフェイクに見せる。はしゃいだりおどけたりしながら、こっそり背中を震わせている。何を隠すための笑顔だったのか、涙を流した本当の理由は何だったのか。いずれにしても、「君」が相手に本心を悟られないようにしていることには変わりない。愛する気持ち、敬う気持ち、諦めない心、信じる心。そんな人間としての感情を捨てて、ただ人形のように、ずっと同じ笑みを浮かべていればいい。そうすれば傷つかずに済むから。ただし「喜びもないけれど」。冒頭で主人公は「君」の過去にある悲しみを想像しているが、二度と悲しみに出会わないために、喜びをも諦めてしまったのだろうか。

しかし、そんな「君」の様子は単なる周囲へのポーズに留まらず、「君」自身をも欺いていることを主人公は見抜いている。人間らしい感情を忘れてしまうなんて、「出来ないことにそろそろ 気付き始めているんでしょう」と。そして、「死んだように生きないで」と呼び掛ける。

テーマが似通っている楽曲として『GUILTY』収録の『Marionette』が思い浮かぶが、『Marionette』が自分自身と向き合い意志を強く持とうとするのに対して、こちらは他者や世界との関わりを問う側面が強いのではないだろうか。心を外へとさらけ出せば時に傷付くが、喜びに出会うこともある。『Love song』でも、例え苦難があったとしても譲れない想いのない人生はつまらない、と歌ったように、悲しみを避けるために喜びまで失うのは「死んだように生きる」ということ。誰かや何かを愛し、信じる心は、人間である以上、なくせはしないのだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Like a doll 歌詞 - 歌ネット

 

 

Aria

作曲・編曲:中野雄太

 

インストゥルメンタル。ストリングスのメロディーが感傷的な美しさを奏でる。ふわりと漂うようなコーラスが加わった後、何か素晴らしいものが待ち受けるような期待感が徐々に湧き上がる。

 

 

 

blossom

48thシングル。当該記事を参照。

 

 

Thank U

作曲:小室哲哉

編曲:中野雄太

 

あゆとファンが一つになれる歌の数々に連なる1曲。シンプルな構成ながら、真っ直ぐな想いに溢れた作品だ。曲調も疾走感と高揚感の掛け合わせで出来ていて、明るく軽やかである。

歌を通して貫かれているのは、「かけがえのない一日を君と分け合えた」という実感である。君が君で居て、生きてきたその一日を分け合えた。そのことに対し、惜しみなく感謝を伝えている。「聴こえているよ」「映っているよ」と、応援する一人一人の想いを確かめるように綴っているのだ。あゆがそんな気持ちでステージに立つからこそ、ファンもまたますます応援する。その互いのやり取りがまさに、同じ時間を「分け合う」ということだろう。何度も繰り返される「lalalala」はあゆとコーラス及び聴衆の掛け合いになるように作られているが、この具体的な言葉のない高らかな声のやり取りに、限りのない「ありがとう」が満ちている。

この感覚の裏にある価値観は、「明日が来る事への 確約なんてないから」という歌詞に端的に表れている。『RED LINE ~for TA~』で、今日という日は誰かが諦めたくなかった明日である、と示したように、この日のステージも、それを観に来るお客さんも、決して当たり前に存在しているものではないのだ。そうして迎えることのできた貴重な時間は、その時限りのものでもある。二度とない刹那、様々なことを乗り越えてファンと共に生きていると感じながら、あゆは歌うのだ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Thank U 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

今日はあゆのデビュー日です。おめでとうございます🎊

早速嬉しいトピックも聞こえてきますね。

 

一方の私と言えば……この有り様です。言い訳のしようものない😢。

見捨てずに見守って下さる読者の皆さんには感謝とお詫びしかありません。

12thアルバム『Love songs』(前編)

収録曲の多くを小室哲哉さんが手がけたアルバム。前作『Rock’n’Roll Circus』のダークなハードロックとはがらりと雰囲気が変わり、軽快なシンセポップの色合いが強い。そうした曲調から言えば、48thシングルの『MOON』『blossom』が星野靖彦さんからの久しぶりの提供だったことも含め、初期のあゆを思い起こさせるアルバムである。とは言え、歌詞も合わせて表現されるのは紛れもなく今のあゆだ。印象的なフレーズを何度も繰り返す楽曲ばかりなので、気が付けば口ずさんでしまう歌が必ず見つかるだろう。

DVD付属盤、CDのみ盤、USBとmicroSDとDVDがセットの数量限定生産盤の3形態でリリース。DVDにはシングル含む8曲分のPVと、7曲分のメイキングを収録。USBには日本人アーティストとして初めてCDよりも高音質なデータで楽曲が収録された。microSDにはPVのみを収録。ジャケットは、柔らかなコーラルピンクの光に包まれたあゆの顔のアップで、形態によって視線の方向が違う。

コラボレーション・シングル『Dream ON』と同時発売。

 

 

〔『Love songs』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

Love song

作曲:小室哲哉

編曲:中野雄太

 

実質的なアルバムタイトル曲であるこの作品には、11thアルバム『Rock’n’Roll Circus』のリード曲『Microphone』に続いて、あゆの歌い手としての矜持が表現されている。ラブソングと言えば普通は恋愛の歌だが、ここで歌われるのは恋愛には留まらない、「ゆずれない想い」だ。

「愛のない 人生なんて そんなの 生きる自信ない」。冒頭からストレートで力強い歌詞が心をぐっと掴む。何を大切に生きていくのか、その迷いのなさが二重否定の文に現れているのだ。ここで注目すべきはやはり、人生に必要なものとして「愛」、「夢」と同列に語られるのが「歌」であること。「歌のない 人生なんて そんなの 見当もつかない」と、あゆは声を張り上げて歌う。かつては歌手になるとは思っていなかったあゆにとって、今や歌は人生になくてはならないものになったのである。

大切なものを大切にしながら生きてゆくことは、簡単ではない。そんなことは分かっている。諦めた方が楽だ。それでも、「ゆずれない想い」のない人生は意味がない――きっぱり言い切る姿勢はこの上なく感動的で、思わずこちらも背筋が伸びる。更には「守りたいものがありますか?」「失ったものはありますか?」という問い掛けに立て続けに揺さぶられ、決して気が抜けない。

繊細なピアノと切なげなギターが絡むサウンドに乗せる歌の旋律は2種類だけ、その2種類に当てた歌詞が二重否定と問い掛けで出来ているというシンプルな構成だが、豪奢な『Microphone』とはまた違ったドラマと説得力がある。同じ言い回しで畳みかけながら、ストリングスが更に盛り上げ最高潮へと引き上げる。壮絶な決意が強い印象を残す作品となった。

PVでは、あゆはパートナーの男性と言い争いをし、部屋を出て行く。一方、その男性と共に強盗を働くもう一人のあゆも登場する。どちらが現実か分からないまま二組は交錯し、歌っているあゆだけが独立した場面として出てくる。『Virgin Road』、『Last angel』のPVと繋がっているが、時系列はぼかしてある。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Love song 歌詞 - 歌ネット

 

 

crossroad

49thシングル。当該記事を参照。

 

 

 

MOON

48thシングル。当該記事を参照。

 

 

 

sending mail

作曲・編曲:小室哲哉

 

メールやメッセージのように、文字情報を即座にやり取りすることは一般に気軽な手段と思われている。けれど、相手に過不足なく想いを伝えること、やはりそれは手段を問わず難しいものなのではないか。「ためらって 溜め息ついて 消去して 最初から打ち直して だけど 結局送信押せなくて」。言葉は難しいとたびたび歌うあゆは、メールを送るにもこれほどの苦しみを味わう。

太陽に置いていかれて「闇に投げ込まれた」と感じる時間帯。「私」は「あなた」へのメールを綴り始めるが、自己嫌悪に陥っていく。優しい月明かりでさえ淋しさを隠すことはできない。

本当なら「目と目合わせて 伝えたい」ところ、メールを送るしかない状況だ。けれど遠回しな言葉を選ぶほど、まっすぐで飾らない「あなた」の側に居られる日が来る確信が持てなくなっていく。かと言って声を聞いてしまって逢いたくなるのもこわい。「私」はメールを書き直し続け、時間は過ぎていく……。

美しいピアノで始まったと思いきや、スリリングなリズムに変わる楽曲は、サビでは同じメロディーと同じ歌詞を4度、被せ気味に繰り返す。それは主人公の逡巡を表すかのようで、聞き手は駆り立てられていく。伝えたい想いと伝えられない弱さが渦巻いた末に、どんな文面が出来上がったのか。メールの行方、二人の行方。気になるところである。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ sending mail 歌詞 - 歌ネット

 

 

Last angel

 

50thシングル。楽曲については当該記事を参照。

初収録となったPVでは、あゆと恋人の男性が仲睦まじくしているが、あゆが時々別な女性にすり替わる。そして状況を俯瞰するかのようなもう一人のあゆがいる。どこかサスペンスの雰囲気が漂い不安感が煽られそう。『Virgin Road』、『Love song』のPVと繋がっているが、時系列はぼかしてある。

 

 

 

 

 

今日はバレンタインデー💘。その日に『Love songs』の記事を上げることが出来ました。

日付が変わる直前に大きな地震がありましたが、皆さんは大丈夫でしたか?せっかくのバレンタインが台無しになってしまい、甘いどころか苦い想いをした方もいらっしゃるかも知れません。

それでも生きる限りは愛を持ち続けましょう。

50thシングル『L』

前作からわずか一週間後にリリースされ、遂に50枚目に到達したシングル。トリプルA面。DVD付属盤とCDのみ盤が2種類ずつの計4形態で、収録された曲順やリミックス、PVのメイキング映像に違いがある。ジャケットは自分の顔の仮面を持つあゆで、仮面の方は目を閉じている。DVD付属盤はほぼ顔のアップ、CDのみ盤はピンクのチュチュ姿で座っており、やはりそれぞれの形態で違う写真を使っている。

 

 

Virgin Road

作曲:小室哲哉

編曲:中野雄太

 

DVD付属盤の1つはこれが1曲目。

ピアノとストリングスがゆったりと美しく、終盤のオルガンは神々しく、全体にそこはかとない切なさのあるバラード。あゆの言葉によってウェディングソングへと仕上がった。

歌詞から分かるのは、これは結婚する相手についてではなく、自分を育てた母への感謝を歌った作品であるということ。冒頭、「愛」に辿り着くまでに「孤独や痛みや罪」があるが、「その全てに心からありがとう」と言っている。そして更に「この命をありがとう」とも歌う。命あってこそ出会う愛、その道程にあったものは、「孤独や痛みや罪」にすら感謝するのである。

「自分を大事に出来なかったあの日 傷ついたのは私なんかじゃなかった」という回想から、どれだけ母が「私」を愛し、そしてどれだけ「私」がその愛を感じてきたかが伝わってくる。これから共に歩き出す、愛する人との誓いはそのまま、「誰よりも理解してきてくれた」母への誓いでもあるのだ。「これからもずっとありがとう」と、感謝はこれから先にも続いていく。

聞き手の胸を最も締め付ける一節は「貴女がいつかのその昔 出逢い愛したあの人と 私が愛している人は どこか似てる様な気がします」であろう。「私」と「貴女」、そして「あの人」という距離の関係性。愛する人と「あの人」が似ていると気付いたときの涙は、一体どれほどの想いが込み上げたものなのだろうか。母に見守られ、感謝を忘れず、「私」は愛する人と新たな道を行く。

PVではウェディングドレスをまとったあゆと相手役の男性が登場する。ただし穏やかな内容ではなく、二人は新郎新婦の姿で銃を乱射し、白昼堂々強盗を働く。『Last angel』、アルバム『Love songs』収録の『Love song』のPVと繋がっているが、時系列はぼかしてある。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Virgin Road 歌詞 - 歌ネット

 

 

Sweet Season

作曲:槇原敬之

編曲:小林信吾

 

DVD付属盤の1つはこれが1曲目。

温かな日向にいるように心地良い楽曲は、槇原敬之さんから提供されたものである。歌詞もその曲調に寄り添い、優しくやわらかい言葉で満ちたものとなった。

綴られた春夏秋冬は、どれも「僕ら」の思い出をその季節らしく飾っている。それもただ美しいだけではない。桜は儚く、太陽は刹那に照り付ける。落ち葉が舞い散る様子は切なく、寒さには指先が震える。どの表現にも、過ぎてしまえば一瞬だったその時間のなかに、どれほど様々な想いと経験があったのかが描かれているのだ。振り返ると「あなた」とどんな風に一緒だったのか、噛み締めるほどしみじみと感じるものである。

「あなた」の涙も笑顔も、主人公は「光っている」と言い表している。何もかもが上手くいっていたから「光っている」のではない。良いことでもそうでないことでも、それぞれの季節の表現にあったような全ての経験が今の「あなた」を光らせているのだ。そして主人公は、そんな「あなた」が歩き出すのを見送ろうとしている。懐かしむ想いがありながらも、未来に向かっていく「あなた」への眼差しは優しいものに違いない。『Virgin Road』で旅立つ側の心境を描いたのと、ちょうど対象的な作品と言えるだろう。サビの終わりの「きらきらきら」が、あゆの丁寧なヴォーカルで彩るように余韻を残してくれる。

PVでは、あゆは大家族のお母さん。たくさんの子供達と、豊かで幸せな時を過ごす様子が、温かくやわらかな光の中で描かれる。海外にルーツを持つと思われる子供達が日本語の歌詞を揃って歌うシーンは印象的だ。ただし、ラストに意外な展開が残されているので、最後まで目を離さずにいよう。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Sweet Season 歌詞 - 歌ネット

 

 

Last angel

作曲:小室哲哉

編曲:CMJK

 

CDのみ盤の1つはこれが1曲目(もう1つはリミックスが1曲目)。

ストリングスの静かで流麗な始まりから、緊迫したリズムを刻む曲調へと変わり、螺旋階段を下ったり上ったりするかのようなメロディーを繰り返す。そのメロディーに合わせるように、「~から」や「~ね」など、語尾を揃えた言い回しで畳みかける歌詞が乗っている。言葉は断片的な印象があり、聞けば聞くほど、主人公を駆り立てるものの正体を知りたくなる。

冒頭から主人公は「あなた」に「聴こえているよね」「伝えておきたい」と呼びかける。鳴り響いている「鐘の音」は終わりを告げるものだと言うが、それでも「悲しい音色 なんかじゃない」らしい。「泣いていたね 叫んでいたね 声になってなかったね」と感情の迸った経験を語り、「夢じゃないから」と確かめる。かつての後ろめたい恋、その相手こそ「あなた」なのだろうか。「間に合うかな」と焦りながらも、主人公は振り返らず「前に進むしかない」と言う。「二度と逢えなくても」という覚悟を携えて。

「たったひとつ 最後のひとつ」の愛。それは二度と逢えないから失われてしまうものではなく、むしろ今でも「見てて欲しい」「逃げないから」「側にいるよ」と思えるほど確かに息づいているものである。だからこそ主人公は、終わりの鐘さえ合図にして、振り返らずに前に進めるのかもしれない。「天使が笑った」とはどういう意味だろう? 自分の行くべき道――天命が分かるような体験だったのだろうか。分かってしまったがために後ろめたい恋を終わらせ、「あなた」と別離することになったのなら、何と切ない道だろう。それでも「あなた」が諦めないでいてくれると信じ、突き進んでゆくのである。

PVはアルバム『Love songs』に収録されている。

 

 

歌詞リンク: 浜崎あゆみ Last angel 歌詞 - 歌ネット

 

 

 

 

皆さん、あけましておめでとうございます。

……と、1月も過ぎて言っているのはおかしいのですが、これが今年の初投稿なので、そう言わせて下さい💦

今日は2月2日ですが、124年ぶりにこの日付が節分になったそうですね。未だ続いている不安な日々が早く終わるように、そしてたくさんの幸福がやってくるように祈りましょう。

出来れば私の遅筆癖も外にぶっ飛ばしたいです……。

49thシングル『crossroad』

50thシングルに向かう第2弾。KEIKOさんとのデュエット『a song is born』で楽曲を提供した小室哲哉さんが、今度はあゆ単独と組んだ。

DVD付属盤と、2種類のCDのみ盤の3形態でリリース。CDはそれぞれ収録されたリミックスが違う。DVDには『crossroad』のPVとメイキング、そして前シングル曲『blossom』のPVを収録。ジャケットは白をバックに銀色の衣装を着て立つあゆで、DVD付属盤が全身、CDのみ盤はそれぞれ膝から上とほぼ顔のアップ。

 

 

crossroad

作曲・編曲:小室哲哉

 

ストリングスがドラマティックに響き渡り、哀愁漂うメロディーを奏でる。人生において出会う、いくつもの分かれ道。戻れはしない選択に想いを馳せる、その切なさが沁みる。

自らの意思で道を選び、進んでいても、ふと「選んだ方はこっちでよかったかな」「反対側にあったのはなんだったのかな」という思いがかすめる。その選択の先にあった、今見えている景色と、かつて描いた夢とに、どのくらいの違いがあるのか。強がる事で自分を守っていた「アイツ」を思い出したり、すれ違う人に「あの子」を重ねたり。この「アイツ」や「あの子」が、自分の選ばなかった方の道に行った人々なのだとしたら、ある意味では迷っていた自分自身、なっていたかもしれない自分自身と同じとも取れる。

けれどこうした心境は、単なる後悔から生まれるものではないだろう。想い出ばかり転がる道を通り過ぎることは「温かいけど苦しかった」と、主人公の「私」は言う。そして「それでも進み続けてるまだ負けてなんかいないよって」という、自らを奮い立たせるような一節が放たれる。過去を完全に振り切るわけではなく、かと言っていつまでもこだわるわけでもなく、その葛藤を抱えながらただ、選んだ道での戦いをやめないのだ。「変わって行く事変えて来た事 変えられない事」という歌詞に、選択を積み重ねた人生の重みが込められている。50枚目のシングルを前にして「私はうまく笑えてる?」と問うあゆに、我々は何と答えるべきだろうか。

PVでは、赤いドレスのあゆが一人いすに座り、どこかうっとりとした目で小さな火を灯す。やがて火は燃え広がり、あゆを包んでいくが、あゆは笑みを浮かべたまま。そんなあゆの周りにはたくさんのテレビの画面があり、別の姿のあゆが歌う様子が映し出されている。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ crossroad 歌詞 - 歌ネット

 

 

SEVEN DAYS WAR

作詞:小室みつ子

作曲:小室哲哉

編曲:CMJK

 

小室哲哉さんの所属するユニットTM NETWORKの楽曲をカバー。元は映画『ぼくらの七日間戦争』の主題歌として物語の内容に沿っている歌詞だが、あゆは国立代々木競技場第一体育館での7日連続ライブに臨む想いを込めて歌った。サウンドは、原曲よりもドラムが控えめであるなどの違いはあるものの、大きく雰囲気は変わらない。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ SEVEN DAYS WAR 歌詞 - 歌ネット

 

 

blossom(PV)

 

実写版としては初めてあゆ本人が登場しない。韓国のアーティストのジェジュンさんが主役、俳優の比嘉愛未さんがその恋人役として出演している。

彼女の絵を描く彼、素朴な幸せに溢れた二人の日常。しかし、思いがけない悲劇が訪れる。明るく優しい光に包まれた画面に映されるラブストーリーが、楽曲の切なさと美しさに重なる。

 

 

 

 

お読み頂いている皆様、もうすぐ新年ですね。

昨年に比べて、更新速度が恐ろしく下がってしまい、大変申し訳ございません。

おうち時間が増えているのに何故こんなに余裕がないのか……😢

 

今年はほぼ初めから最後まで、大変な1年でした。あゆにも色んな事が起きました。

しかし尚時は進み、新たな年がやって来ます。

どうか平和が戻るよう祈りつつ、2020年を閉じましょう。

良いお年を!

48thシングル『MOON/blossom』、『blossom/MOON』

両A面シングル。50thシングルに向かう第1弾。デビュー曲の『poker face』、『A Song for ××』など、初期のあゆ作品を多く手掛けた星野靖彦さんが、久しぶりに楽曲を提供した。

『MOON/blossom』『blossom/MOON』それぞれのCDのみ盤と、『MOON/blossom』のDVD付属盤の3形態。DVDには『MOON』のPVとメイキングが収録される。CDは曲順と収録されたリミックスに違いがある。ジャケットはコーラルピンクを帯びた優しい色合いの画面に映るあゆで、DVD付属盤はバストアップ、『MOON/blossom』のCDのみ盤は顔のアップ、『blossom/MOON』は片膝を抱えて座る全身。

 

MOON

作曲:星野靖彦

編曲:中野雄太

 

『MOON/blossom』では1曲目に収録。霞む空から次第に月が現れるかのような、幻想的なサウンドのロックバラードに載せて歌われるのは、繊細な愛のやり取りだ。輪郭をはっきりさせすぎず想像の余地を残した言葉たちが、静かな光を湛える優しい月と、満ち欠けで姿を変える不安定な月、どちらも思い起こさせる。

「僕」と「君」の思い出には月がある。月の遠い夜に出会い、届きそうな月は泣き出しそうになりながら見上げ……。そうしてどんな経過を辿ったのか、今の二人の関係はどこか儚げで、ぐらついているようにも思える。「僕」は「君」の心を傷つけたばかりか、その涙を拭う勇気もない。「君」は悲しい瞳をして、震える声で「愛してる?」と聞く。二人とも、つないでいるはずの愛に自信がなさそうだ。

「僕」は「ねぇ優しい歌を君にあげるよ」と言う。その歌の優しさは、一時の慰めにしかならない形のぼやけたものなのか、本当の意味で「君」を安心させ救ってくれるものなのか。「永遠を永遠に信じられるように」という一節については、これまでのあゆ作品で「永遠」という言葉がどう用いられてきたかを考えれば、その頼りなさと切実さが分かるだろう。「誓った祈り」は叶うのか。「君」が笑って「幸せだよ」とまた言えるようになる日はくるのか。月が夜空を照らすように、二人の関係にも希望が差すと良いのだが。

PVは、薄暗い部屋の中であゆが一人歌う姿を映す。豪奢な調度品に囲まれているが、満ち足りた様子はなく、寂しげに見える。小犬とたわむれる場面も時折、思い出のフィルムのように差し挟まれる。途中、真っ白なドレスのあゆが真っ黒に染められていくシーンが衝撃的だ。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ MOON 歌詞 - 歌ネット

 

 

blossom

作曲:星野靖彦

編曲:中野雄太

 

blossom/MOON』では1曲目に収録。陽光の下で綻ぶ花が思い浮かぶ作品。ミディアムテンポのロックは何処か切なさを含み、2番の後には荒っぽい起伏も見せるが、全体としては明るさに満ちている。キラリと光るようなピアノの音がアクセント。

「泣いていたよねホントはずっと 心のなかではね」「わかっているよ痛いくらい 変わらず伝わってるよ」と、呼びかけるように、確かめるように綴る言葉はあゆ作品ではおなじみのはずだが、ここまで繰り返し出てくるのは久しぶりのような気もする。こういうところもまた、初期の頃の味わいに近付いたかのようだ。

この歌に登場する二人は、「まだぎこちない手と手を繋いで」いる状態ながらも、同じ方向に向かって歩き始めている。相手が「心のなか」で泣いていたことも、笑っていたことが「精一杯の強がり」だったことも「僕」は分かっている。痛いくらい伝わるその想いを「分け合って行こうって誓った」のだ。「大人になって行く事の意味なんて」という一節は、『fairyland』の「大人になって行く事の意味 なんて分からないままだよ」という歌詞を思い出させるが、この歌では「知らなくたっていい」と結ばれる。『fairyland』で描かれた「大人」とは平たく言えば、未来を憂慮しない無邪気さを失っていくことだった。しかしこの歌の「ただ大丈夫 もう大丈夫 それだけは確かに解ったから」という、具体性に欠けながらも力強い確信は、無邪気さと呼ぶに相応しいのではないだろうか。大人になっても尚忘れない心を表現しているのは『fairyland』も同じだ。

二人が見守ってきた「花びら」とは何を象徴するものだろうか?「blossom」は「花」という意味だが、特に果実の生る木の花を指し、その点で他の単語「bloom」や「flower」とはニュアンスが違う。つまり花が咲いた先には更に果実という次の段階があるのだ。だから「bloom」や「flower」が「今が盛りである」を含意するのに対し、「blossom」は「これから発展してゆく」という方向性を示す。「最後のひとひらまで」見届けようとする「僕ら」が、未来を変える一歩で「歩き始めた」ところなのは、まだ目指す先があるということなのだろう。「花」と言えば儚く散っていたあゆ作品の中としては新しい描写である。

PVは次の49thシングル『crossroad』のDVDに収録されている。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ blossom 歌詞 - 歌ネット

11thアルバム『Rock’n’Roll Circus』(後編)

〔『Rock’n’Roll Circus』の記事 【前編】 【中編】 【後編】

 

Sexy little things

作曲・編曲:中野雄太

 

軽やかに飛び跳ねるような、何処かおかしみを誘う曲調で、エレクトロ・スウィングの趣もある。歌詞は前曲『Lady Dynamite』に引き続き、女性に求められがちな役割に対する抗議となっているが、そのアプローチは一味違う。『Lady Dynamite』ははっきりと男性にNOを突き付けたが、こちらは一応、表向きはおとなしく聞き役に徹している。

「君が一番だよ」に漂う、慣れたような雰囲気。「幸せにしてあげる」に含まれた、一方的な自己満足。主人公はとっくに見抜いている。見抜いていながら、男性の好きにさせている。相手は自分を見て、何も知らずに頷いているのだと思うだろうか? 「オンナは意思も欲望もない」のだと思うだろうか? それは「大きな間違い」だ。敢えてそういう態度を装い、「格好つけられる環境」を提供しているだけ。「×××」というぼかした表現や、「オンナ心とナントカの空は」と言った冗談めかした言い方に、相手を手のうえで踊らせて内心笑っている主人公の姿が見て取れる。憎らしくはない。あゆのすましたヴォーカルからは、小悪魔的な色気さえ漂う。

こういう女性を、狭苦しい女性像を求める側が利用しようと試みることがある。表面上でもいいから無知で受け身な態度を取ることで、上手く男性を転がす女性が賢い……というように、結局は女性を男性に従順な役割に押し込めるロジックに用いるのだ。だが、この女性はそうした魂胆さえお見通しだろう。何より、この歌の歌詞が『Lady Dynamite』と同じ人物によって書かれたことを忘れてはならない。調子に乗っていれば、そのうち「悪いけど黙っててくれる?」と突き付けられるのがオチだ。

PVは、非現実的な空間の中で、奇抜なファッションの人々が目的不明の行動を見せる。赤と黒と白のコントラストが強烈な中で、あゆが歌う。『Microphone』のPVと繋がっている。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ Sexy little things 歌詞 - 歌ネット

 

 

Sunrise ~LOVE is ALL~

46thシングル。当該記事を参照。

 

 

meaning of Love

作曲:湯汲哲也

編曲:HIKARI

 

ダークさが貫くこのアルバムにおいて、恐らくはもっとも素朴で温かな楽曲だろう。バラードに載せて歌われるのは、真っすぐで飾り気のない愛だ。

「嬉しそうに目尻を下げてくしゃっとあどけなく笑うとことか」「子供みたいに急にふてくされたりとか」「涙もろいとことか」と、「あなた」の好きなところを語る主人公。ここに挙げただけでも細かいところを見ている印象だが、本当は並べだしたら「キリがない」とのこと。二人の間には、今だからこそ笑い話にできる事も、今でも胸が痛むような事もあると言うが、それさえも愛を教えてくれる想い出となっている。こうして相手のこと、二人のことを一つ一つ大切にしているからこそ、『You were...』のようなシチュエーションでは「ひとつも忘れたくない」となってしまうのだが、この歌の二人にはどうかずっと一緒であってほしい。

主人公は、キリがないほどの好きなところで溢れた「あなた」に、「変わらないで」「そのままでいて」と願う。飾らないその人が、ただ側に居るだけで感じる、カタチのない想い。それこそ人間が「愛」と呼ぶものなのだと分かった実感が、丁寧に歌われている。あゆ自身は、『WE WISH』で「装いばかりで繕いはじめて 肝心な事に気付かされる」、『alterna』で「大抵飾りだった」という思いを抱いたり、このアルバムの初めでは「自分があってこその変化」を歌ったりしているが、それは後戻りできない道を歩む中で、尚自分で選んできた生き方であろう。そんなあゆが、愛する人に「変わらないで」「そのままでいて」と語りかけることを思うと、よりメッセージが真っすぐに心に入ってくるのではないだろうか。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ meaning of Love 歌詞 - 歌ネット

 

 

You were...

47thシングル。当該記事を参照。

 

 

RED LINE ~for TA~ [album version]

47thシングルのカップリング。シングル収録時には歌詞が掲載されていなかったが、このアルバムでは手書きの文字で読むことが出来る。アルバムバージョンとして、演奏時間が少し長くなっている。楽曲の詳細は当該記事を参照。

 

 

歌詞リンク:浜崎あゆみ RED LINE ~for TA~(album version) 歌詞 - 歌ネット